漢方薬大手のツムラが大学生を対象に無料かつ保険証不要で提供する健康相談窓口「ヘルスサポート」が、ツイッターで「素敵な取り組み」などと話題になっている。同社に実施経緯を聞いた。
賛同大学と連携、6~7月に第1弾開催
公式サイトによると、ヘルスサポートは、大学生が心身の不調について医師などの専門家に無料で相談できる場となっている。具体的には、生理・PMS(月経前症候群)や天気の変化による頭痛などの症状が例示されている。
大学構内など学生がアクセスしやすい場所を会場とする。保険証が不要な一方、「診療所、病院ではありませんので、診察、診断、治療等は行いません」との注意点も。
この取り組みは、ツムラが、大学生が生理やPMSなどによる心身の不調を「隠れ我慢」しない環境づくりを目指して2023年4月に始めた企画「Carellege Action」(ケアレッジアクション)のひとつだ。企画に賛同する大学と連携し、大学の要望に応じながら不定期で提供するという。
ツイッターでは6月に情報が拡散され、「素敵な取り組み!!!」「素晴らしい。若い世代の方々が『しょうがない』じゃなく『相談していいことなんだ』と思っていけるといい...!」といった声が上がっている。
ツムラ広報は22日、ヘルスサポートは6月20日に始めたばかりだとJ-CASTニュースの取材に答えた。第1弾として6~7月に賛同大学のひとつ、上智大がある東京・四ツ谷の学生コミュニティラウンジ「TOMOSUBA東京四ツ谷店」で実施する。
「大学生にとって身近で気軽にアクセスできる場所でありながら、プライバシーが守れるような相談スペースを用意すること」に気を配った。また「どんな些細なことでも心や体の悩みを相談できる環境を提供したい」という思いで、無料にした。
今回は基本的に1人15分程度で予約を受け付け、産婦人科医が計10人の学生に応対する予定だといい、「ヘルスサポートの開始を発表させていただいた翌日時点で、全て予約は埋まっており、このような場を求めている方が多いことを改めて感じております」と述べる。
「誰もが我慢に代わる選択肢を選べる健やかな環境」へ
実施背景として、もともと同社は「心身の不調を無理に我慢することなく、誰もがいつでも心地よく生きられる社会」を目指す取り組み「#OneMoreChoice プロジェクト」を21年3月に始めたと説明する。
「不調症状における課題解決に向けてさまざま取り組むなかで、生理・PMS等の心身の不調に対する課題解決についても取り組んでまいりました」
そのなかでインターネット調査に基づき23年3月に公開した「生理やPMSに関する大学生の不調実態調査」で、女子大学生の85.7%は、生理・PMSの不調を日常的に我慢しているという現状を明らかにした。また、女子大学生の61.8%が、生理やPMSの不調を「誰かに相談したい」と考え、無料で専門的なアドバイスを受けられるよう望んでいると分かったという。
心身の不調を我慢してしまう大学生が、我慢に代わる選択肢を選べる環境づくりをサポートするため、ケアレッジアクションを始めるに至った。CareとCollegeを合わせた造語だ。
「大学生が、心身の不調や悩みについて、『無料』で『気軽』に『専門家へ相談』できる機会と場を提供することで、大学生の『隠れ我慢』を無くし、誰もが我慢に代わる選択肢を選べる健やかな環境を創りだしていきたいと考えています」
上智大のほか東京経済大、芝浦工業大、東洋大が賛同している。ヘルスサポートに先立っては、大学生向けの研修も実施した。
取り組みは今後も継続していく
広報によると#OneMoreChoice プロジェクトの活動のひとつとして、ケアレッジアクションは継続していく。夏休み以降のヘルスサポートについても、賛同大学と相談しながら各大学の学生に合った形での実施を考えているという。
先述したようなツイッターの反響は次のように受け止めている。
「事前の調査から、心身の不調について相談したいと思いながらも、相談できず、一人で抱え込んでしまっている学生の方が多いことがわかっていたものの、反響を通して、一人でも多くの必要とされている方に届けば...という思いがこれまで以上に強くなりました。
Carellege Actionの取り組みは引き続き継続してまいりますが、この活動への思いが、より多くの学校、企業の方々等にも広がることで、様々な形で隠れ我慢のない社会に向けた取り組みの輪が広がることになれば心強いと考えています」
下記のような思いも伝えた。
「不調症状を感じた際、我慢に代わる選択肢 #OneMoreChoice は一人ひとり、その時々、さまざまです。どのような選択肢であっても、誰もがその選択肢をとれ、提示できる社会にしていきたいと考えています。
ツムラでは、中長期で#OneMoreChoice プロジェクトに取り組んでまいりますが、ぜひ同じ思いを持つ方々とつながりながら、活動の輪を広げ、誰にとっても心地よい社会づくりへ貢献できればと考えています」