今の健康保険証に安住するのは大きなデメリット
筆者はかつて20年ほど前の官僚時代にe-Taxのシステム作りに参画した。これは国民からカネを取る仕組みであるが、それを一部改良すれば国民にカネを配布することが可能だった。カネを取るのはいち早く作り、カネを配布するのは20年も時間を要した。これは新しいシステムに移行しないデメリットだ。
現行の保険証は顔写真もないなど、本人確認ができない。他人のなりすましや不正利用などが問題化している。性善説を前提として健康保険証を本人確認の一部としている今の社会システムはマイナ保険証に移行しないとかなりまずいことになるだろう。今の健康保険証に安住するのは大きなデメリットになっている。実際、日本のいくつかの自治体では健康保険証の不正利用に悩んでいる。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。