プロボクシングの世界ライト級4団体統一王者デビン・ヘイニー(米国、24)が、米ネバダ州アスレチックコミッションから2万5000ドル(約350万円)の罰金を科された。複数の米メディアが2023年6月20日に報じた。
計量会場は不穏な空気に
ヘイニーは5月21日に米ネバダ州ラスベガスで元世界ライト級3団体統一王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ、35)と対戦し3-0の判定勝利を収め王座防衛に成功した。試合は接戦となり2人のジャッジが2ポイント差、残り1人が4ポイント差でヘイニーの勝利を支持した。
問題のシーンは前日計量の会場で起こった。タイトル戦の計量が5月20日に行われ、ヘイニー、ロマチェンコともに一発でクリア。計量を終えた両者はメディアの要請に応え正面を向いて記念撮影に納まった。ヘイニーは笑みを浮かべながらリラックスした様子だったが、恒例のフェイスオフ(にらみ合い)でトラブルが発生した。
互いに顔を近付け厳しい表情のまま視線を外さなかった。そしてフェイスオフから6秒が過ぎたあたりでヘイニーがロマチェンコに話しかけ、さらに顔を近付けるといきなり両手でロマチェンコを突き飛ばした。
すぐに両陣営が間に割って入り両者を引き離して写真撮影が終了。ビッグマッチを翌日に控え計量会場は不穏な空気に包まれた。
ネバダ州コミッション40万ドル差し押さえ
米スポーツ専門局「ESPN」(WEB版)によると、ネバダ州アスレチックコミッションが6月20日にヘイニーに2万5000ドルの罰金を科したという。同コミッションはヘイニーのファイトマネーの10%にあたる40万ドル(約5600万円)を差し押さえており、罰金と弁護士費用がここから差し引かれ残りはヘイニーに返金されるという。
ヘイニーは19年9月にWBC世界ライト級暫定王座決定戦に勝利し、その後、正規王者に昇格した。22年6月に世界ライト級3団体統一王者(WBA・WBO・IBF)ジョージ・カンボソス・ジュニア(オーストラリア、30)を判定で破り4団体王座統一に成功。同年10月の再戦でも判定勝利を収めて王座を防衛した。戦績は30勝(15KO)無敗。
一方のロマチェンコは08年北京五輪、12年ロンドン五輪で金メダルを獲得し13年にプロ転向。プロ2戦目で世界王座に挑戦して黒星を喫したが、3戦目にWBO世界フェザー級を獲得。その後、スーパーフェザー級、ライト級と世界3階級を制した。プロ戦績は17勝(11KO)3敗。
両者の対戦は世界的に大きな注目を集めていた。