Amazonでマイナーな洋書を注文したら翌日に届いた――。こんな体験談が、ツイッターで7万6000件の「いいね」を集めるほど話題になっている。
一体どのようなサービスなのか。J-CASTニュースは、アマゾンジャパンの広報担当者に詳しい話を聞いた。
5日夕に購入した本が翌日に届いて...
反響を呼んでいるのは、ツイッターユーザー・「ゆな先生」(@JapanTank)さんによる2023年6月6日の投稿だ。
「ゆな先生」さんの投稿や取材への回答によると、東京都内からAmazonで、電子書籍サービス「Kindle」で販売していない「超マイナー」な洋書を5日16時に注文したところ、6日の16時頃に「ペーパーバックだが表紙も裏表紙もカラー印刷でちゃんとした本」が到着した。Amazonのウェブサイトでは、ペーパーバックの作りを「接着剤で柔軟性のある段ボール製の表紙を貼り付けた紙の本」と説明している。
「ゆな先生」さんは当時の心境を「洋書だから外国で印刷されて日本に空輸されてると思うやん?そしたら、最後のページに"Printed in Japan"って書いてあるんよ。『え?』と思ってよく見ると、こう書いてあるのよ。『落丁、乱丁本のお問い合わせはhttp://Amazon.co.jp カスタマーサービスへ』いやいや洋書やし、しかも出版社はAmazonじゃないはず...」とツイートしている。
調べると「プリント・オン・デマンド(POD)」というAmazonのサービスだったという。一体どのようなサービスなのか。6月12日、取材に応じたアマゾンジャパン広報担当者は次のように説明する。
「お客様の注文に応じて、書籍を一冊から印刷・製本・配送ができるAmazonのサービスです。日本では、2011年4月より提供を開始し、幅広いジャンルの書籍に対応し、入手が困難な書籍から、過去の書籍や海外で販売されている書籍まで、お客様のニーズに合わせた書籍を一冊から印刷、提供することができます」
PODの製本設備は、千葉県にある同社の物流拠点「市川フルフィルメントセンター」に設置されており、注文に応じ全国に配送しているという。
「ゆな先生」さんはPODを利用した感想を次のように述べる。
「印刷の質は少し荒く、(編集部注:今回の洋書の場合は)値段も少し高めではありますが、日本では手に入ると思っていなかった専門的領域の書籍が翌日に届くのは衝撃的で、他のあらゆる本屋さんにも売っていないものだったのでとても助かりました」
「米国にいれば手に入る専門的書籍が日本では手に入らないとなると、知識を得る、学習をするという点においても日本が米国に劣後してしまうので、このサービスは日本に住む人の専門的知識向上にも貢献する仕組みかもしれないなと思いました」
「ゆな先生」さんが購入した「超マイナーな洋書」はKindleにはなかったというが、広報によると「著作権等の関係で電子書籍化されておらず、紙書籍のみで販売されているケース」もある。
「書籍出版および読書における新たな選択肢やさらなる利便性をご提供できるよう、PODのサービス提供を開始いたしました」
広報はPODを始めた背景や理念に関して次のように述べる。
「Amazonでは1994年に書店としての創業以来、出版ビジネスに注力しております。日本においても、2000年のアマゾンジャパンの設立以来、出版ビジネスに取り組んでいます」
PODにより従来は「比較的コストがかかっていた」商品を低コストで提供できるという。
出版社は、売れる部数を見込んで大量に書籍を印刷するリスクや返品のリスク、在庫を抱える負担を軽減できるとする。海外の書籍においても、日本への輸送費や日本での在庫保管の費用などを軽減し、販売できるという。
「書籍出版および読書における新たな選択肢やさらなる利便性をご提供できるよう、PODのサービス提供を開始いたしました」
ツイッターでPODが話題となっていることについては「多くの方々に知って頂き、ご関心をお寄せいただくとともに、好意的なコメントも多数拝見し、嬉しく思っております」とした。
なおAmazonでは、2021年10月から筆者自らKindleで書籍を出版できるサービス『Kindle ダイレクト・パブリッシング(以下、KDP)』を開始している。電子書籍だけでなく紙書籍での出版が可能になり、より多くの読者に作品を届けられるようになったという。