立憲民主党の小沢一郎衆院議員らが次期衆院選の小選挙区で野党候補の一本化を求める動きを加速させていることについて、国民民主党の玉木雄一郎代表は2023年6月20日の定例会見で、「既得権益を守るように見えてしまう」と批判した。一本化を主張している立憲の現職議員側が出馬をやめるのではなく、他の野党に対して候補者取り下げを要求する形になっているためだ。
立憲の泉健太代表は、他党との選挙協力には否定的な立場。泉氏の立場とは全く異なる主張が記者会見で発信される状況に「泉さんも気の毒」とも話した。
千葉5区は「一番最初に出した我が党の岡野純子さんに一本化するのがやっぱり筋」
一本化を求める動きは、小沢氏や同党の小川淳也衆院議員が「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を結成し、6月16日に記者会見して表面化した。所感を問われた玉木氏が、記者に「どう思いますか」と逆質問すると、記者は「ばかなことだと思う」と反応。4月の衆院千葉5区補選をめぐる経緯を念頭に、
「一本化を求めるというのは、千葉の補選でも立憲が言ってきたが、後から来た人間が図々しく言うことだ」
などと批判した。千葉5区補選をめぐっては、国民民主が22年12月21日に岡野純子氏の擁立を発表し、12月29日に共産党が斉藤和子氏の擁立を発表。立憲が矢崎堅太郎氏の擁立を発表したのは1月17日だった。立憲は矢崎氏への一本化を主張したが他の野党は応じず、自民公認の英利アルフィヤ氏が当選した。
玉木氏は
「千葉5区の話が出たので申し上げれば、仮に一本化するのであれば、一番最初に出した我が党の岡野純子さんに一本化するのがやっぱり筋ではないか」
と改めて主張した。
「だから泉さんも気の毒だなと思うのは...」
その上で、今回の一本化の主張を「既得権益」と結びつけて批判した。
「そういう一本化は置いておいて...結局自分たちに一本化ということなので、既得権益を守るように見えてしまう。今、現職である自分たちで(一本化して)、他の政党あるいは新人は出ないでくれ、という一本化ということは、多分、一般の人から見ると、既得権益を守っているだけに過ぎないというふうに映ってしまいがち」
「有志の会」が立憲執行部に直接申し入れる前に記者会見を開いたことについては
「一体誰に対してどういうメッセージを出しているのかよく分からない」
とも指摘。続けて「だから泉さんも気の毒だなと思うのは...」と切り出し、泉氏は他党との協力には否定的な立場を取っている事に言及した。そういった状況で記者会見が開かれることは立憲のイメージダウンにつながるとの見方を示した。
「ああいった形で会見してやるということであれば、それは党の代表の方針と異なっているわけで...。対外的に何か記者会見する前に党内でしっかり議論して、まず党内の選対委員長なり執行部なり代表と、よく話をされる方が、党としてのイメージはいいのかなという気がする」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)