「教員不足」の問題が深刻です。2023年5月に、日本大学の教授らが全国の公立小中学校の副校長、教頭を対象に行った調査で20%以上の学校が教員不足を訴えているという結果を公表して注目されました。
教員不足の要因のひとつとして挙げられるのは、「過酷な労働環境」です。Twitterでも、その実態を浮き彫りにするような投稿を目にすることが少なくありません。
ツイートまとめサービスのTogetterが解説する「3分くらいでわかる週刊Twitterトレンド【J-CAST出張版】」。今回は「教員の労働環境」について掘り下げます。
残業320時間のすえに倒れ、病院へ
教員の「過酷な労働環境」が垣間見える体験談は注目されやすい傾向にあります。臨床医のTwitterユーザーが投稿した「学校の先生が運ばれて来た。聞けば先月の残業が320時間だという」というツイートが注目されました。
その先生は、自身の子供が不登校となり、配偶者も病んでしまい、家庭環境も崩壊しつつあったようです。さらに過酷な労働環境について、所属する学校の教頭や校長は「俺の頃はもっと働いた」と言うばかりで改善の兆しが見られないとのこと。
悲惨な報告にTwitterユーザーからは「こんなんでまともな授業できるわけない」「明らかに割に合わない仕事だよなぁ」と同情する声が多数集まりました。
修学旅行で8万円を自腹の先払い
教員の労働環境についての問題は労働時間だけではありません。
「修学旅行代金、教員1人8万円払うって」とツイートしたのは、中学校教員のTwitterユーザー。全額自己負担ではなく後日一部返金されるとのことですが、「仕事なのになー。8万円かー!すごい額!」と漏らしています。
また、そのTwitterユーザーが一般企業に勤める配偶者に出費の話をしたところ「あり得ない、の一言だった」とも。
投稿を見た人からは「修学旅行って教員タダやなかったんや」と驚く声や、教員1年目で「いきなり8万持ってきて」と言われて親にお金を借りざるを得なかった、という厳しい体験談などが寄せられました。
修学旅行、引率の先生は一人約8万払うと会社員の夫に言ったら「有り得ない」と言われた→様々な意見が集まる - Togetter
修学旅行時の金銭の負担だけでなく、学校によっては「卒業アルバムも自腹」などの声もあり、業務に伴う出費に戸惑う教員も少なくないことが分かります。
教員の資格があっても志望しない人が多いのでは?
文部科学省は2025年度から、小中学校などの教員免許を最短2年で取得できる教職課程を、四年制大学でも開設可能にします。2023年2月に複数のメディアが報じました。背景の一つとして、教員不足問題を受けて教員志望の学生の負担を軽減する狙いがあります。
あるTwitterユーザーが、この方針の決定をきっかけに、国の教員不足対策に疑問を呈するツイートを投稿し、反響を呼びました。
投稿者は「教員不足は『資格のある人』が足りないわけではなく、『資格があっても劣悪な労働環境を避けて志望しない人』が多いことが原因」とツイート。不足解消に向けて、教員の労働環境の改善に取り組まないと無意味なのでは、と述べています。
「教員免許取得最短2年特例」報道に人手不足解消をするなら「資格のある人を増やす」のではなく「劣悪な労働環境を改善すべき」って話 - Togetter
これには「その通り!」「教員不足の本質を見抜いていない」と賛同の声が多数あがりました。「教育実習に行っただけで絶対なりたくないと思った」と、実習の段階で労働環境に疑問を持ったという体験談も複数寄せられています。
「勤務時間外は対応できません」校長の姿勢に称賛の嵐
もちろん、現場では教員の労働環境を見直そう、という動きもあるようです。
小学校教諭のTwitterユーザーが「管理職Lv.99の校長先生の学校だよりを見つけて興奮しています」というコメントとともに、ある学校で配られた学校だよりの画像を投稿し、反響を呼びました。
「子どもたちのための働き方改革」と題された学校だよりは、校長によるもの。かつて中学校の英語教師として自身が経験した過酷な労働環境を振り返りつつ「(教員が)心にも体にも余裕のない状態では、満足のいく教育活動ができない」と述べています。
その上で、現勤務先の学校での教員の労働環境改善のため、保護者に向けて「原則、勤務時間外に、教職員を訪ねたり、電話をしたりすることはご遠慮ください」「土・日・祝日などの休業日は、学校に教職員がいても、原則、対応はできません」といった要望を提示したのです。
教員たちを守ろうという姿勢が伝わってくる内容に「これが働き方改革の第一歩」「これ言える校長ってなかなかいない」「すごい勇気だ」と称賛の声が集まりました。
「土日祝は学校に先生がいても原則、対応はできません」管理職Lv.99な校長先生が書いた学校だよりが凄すぎる - Togetter
投稿者も「教員のなり手不足や、辞めてしまう同僚が多い中で、こういった校長先生の発信にとても興奮しました」と投稿しています。
Twitterで教員の労働環境に関する話題が注目されると、広く一般に向けた問題の認知拡大に繋がります。また、投稿に対する反応を見ると、教育関係者間での情報共有の機会にもなっていることが分かります。
文科省がSNSで「#教師のバトン」と題し、教員らに仕事の魅力などの投稿を呼びかけところ、不満が相次ぎ論争となったケースもありました。教育現場のリアルな体験談の発信が、問題解決に向けた議論を深めるきっかけを生んでいるのかもしれません。
以上、Togetterがお送りする「3分くらいで分かる週刊Twitterトレンド【J-CAST出張版】」でした。今回紹介したTogetterまとめを振り返りたい方はこちらからどうぞ。次回もお楽しみに。
【まとめ一覧】
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#教師のバトン プロジェクト 参加方法??
— #教師のバトンプロジェクト【文部科学省】 (@teachers_baton) March 26, 2021
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