ジャニー喜多川氏はなぜ裁判で不利となる証言をしたのか ジャニーズと争った「文春」弁護士が明かす

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   ジャニーズ事務所らとかつて裁判で争った喜田村洋一弁護士が2023年6月14日、日本記者クラブで会見を開き、同事務所前社長の故・ジャニー喜多川氏への尋問の様子を明かした。

   ジャニーズ側は、「週刊文春」が1999年から報じた元ジャニーズJr.の性被害告発記事で名誉を傷つけられたとし、発行元の文藝春秋らを01年に訴えている。喜田村弁護士は文春の代理人を務めていた。

  • 日本記者クラブで会見を開いた喜田村洋一弁護士
    日本記者クラブで会見を開いた喜田村洋一弁護士
  • 日本記者クラブで会見を開いた喜田村洋一弁護士

「被害少年たちが嘘の証言をしたと僕は明確には言い難いです」

   喜田村弁護士は、2001年7月に喜多川氏へ尋問をしている。喜多川氏は当初「私は一切(性加害を)していません」と主張していたという。

   喜田村弁護士は、被害少年2人が裁判官の前で供述を語る「人証調べ」で被害を証言していることや、ジャニーズのアイドルグループ「フォーリーブス」の元メンバー・北公次さんが暴露本「光GENJIへ 元フォーリーブス北公次の禁断の半世紀」で被害を告発していることを挙げ、

「どうしてみんなが異口同音に同じようなセクハラ被害をあなたから受けたのか理由を説明してください」「北公次さんはなぜジャニーさんに言わせると全くの虚偽の内容の本を出したのか、その理由に思い当たることはありますか」

と問うと「わかりません」と喜多川氏は答えたという。

   喜田村弁護士が、

「ジャニーさんの言っていることを前提とすると、セクハラ行為を受けたというのは真っ赤な嘘なんですよね。そういうあなたの不名誉なことをなぜあなたに恩義を感じている北公次さんや被害者の元ジャニーズJr.2人が出したのでしょうか」「被害少年が嘘をついたのはなぜなのでしょうか。端的に答えてください。被害少年が嘘をついた理由としてあなたが言っているのは寂しいからだということですか」

と質問すると、喜多川氏は「寂しかったからじゃないですか」などと必ずしも趣旨の明確ではない話をしたという。

   続けて、「先生(喜田村弁護士)は嘘とおっしゃいますけれど、被害少年たちが嘘の証言をしたと僕は明確には言い難いです」とも付け加えた。

   喜田村弁護士は「『ホモセクハラ』をしたと言われたら怒って『どうしてそういうことを言うんだ』というのが普通の人間の反応ですよね。しかも育ててあげた家族と思っているような少年がどうして嘘をつくのか。しかも1人、2人ではなく何人も言っている。全く見当もつかないというならまだしも『嘘をついたかどうかは明確には言い難いです』と言ったから私はこれで勝ったと思いました」と振り返る。

   裁判は2002年3月、一審判決で「ホモ・セクハラ報道」(性加害)の「真実性・真実相当性」はないと判断されたが、同年7月の二審判決では喜多川氏の発言が不合理であることから真実性があると覆った。

被害少年に「長生きしてください」と言われ...

   喜田村弁護士は会見の後半、記者から「今告発されている(被害者の)方はジャニーさんに恨みはないと話されている方が多くいます。グルーミングではないかという指摘もありますが、当時の裁判の記録だと(被害少年がジャニー氏に)『長生きしてください』と発言されています。ジャニーさんに対する感謝は当時からあったのでしょうか」と質問され、

「被害少年にジャニーさんに言いたいことはあるかと聞いたら『長生きしてください』と言いました。それがジャニーさんにとっては効いたんです。効いたから少年たちの言っていることは嘘だと言えなかったので、高裁の判決に繋がったわけです。その一言が結局真実を表したと理解しています」

と説明した。グルーミングは性的な目的を隠して近づき、子どもと親しくなって手なずけることをいう。

   ジャニー氏にとって不利となる証言を引き出せた要因については

「ジャニーさんの立場から見て真っ赤なウソをなぜ(被害少年たちは)つくのか、しつこく聞き、裁判官もそれを許しましたし、私も必要だから聞かせてくれと言いました。『嘘をついているとは明確には言い難いです』との発言はジャニーさんが色々話す中でふっと出たんです。色々質問して、色々説明しようとして、語るにおちるという感じで、つい本当のことを言ってしまったと。それでこれは成功だなと思いました」

と振り返った。

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