「植物採集」「植物採取」どっちが正しい? 朝ドラ視聴者の投稿分かれる...国語辞典編纂者の見解は

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「私の仕事も、万太郎と同じく『集めること』」

   飯間氏は、「らんまん」は毎回見ており、「実は、この問題は私にとって身近なんです」と取材に明かす。

「私の仕事も、万太郎と同じく『集めること』だからです。辞書の仕事では、言葉が実際に使われた例を集める『用例採集』が欠かせません。よく『用例採取』ですか、と言われますが、『採集』と『採取』はやはり違います」

   飯間氏は自身が編纂に携わる『三国』第8版の「採取」「採集」の項目を示しつつ説明する。

「『採取』の意味は〈拾いとること。選びとること〉であり、例として『指紋採取・砂金の採取』が挙げられています。一方、『採集』の意味は〈研究や趣味のために、広く集めること〉で、『植物の採集』が例示されています。『植物採集』『昆虫採集』などは、たしかによく耳にしますね」

   あわせて飯間氏は、「植物採集」と、自身の仕事の共通性に言及した。

「植物研究にしても、言葉の研究にしても、いろいろな種類をあちこちから集めるという文脈では『採集』を使うことが多いですね。『採集』は集めるところに重点があります。万太郎のモデルとなった牧野富太郎の文章でも、『植物採集法』『実地採集』のように、『採取』より『採集』が多く出てきます。『あれこれ集めてきました』という場合は『採集』がいいでしょう」

   ただし、飯間氏は、「植物採集」「植物採取」のどちらか一方が正しいというわけではなく、たくさんある中から一部を取り出す場合は「採取」、広く集める場合は「採集」と考えれば良いとの見解を示した。

「いちめんに咲いている野草の一本を標本用に摘み取る場合などは『採取』でもおかしくないでしょう。牧野の文章にも、ナデシコを採取したと書いている例があります」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)

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