「15年前に事故で99%死んでた息子、たくさんの方の力で助けられ、先月就職しました」――マンガ「マラソンマン」「極楽とんぼ」などの作者として知られる井上正治さんは2023年6月8日、息子の救助に関わった人々にツイッターで感謝を述べた。
「当事8歳の息子はこの橋の下に浮いてました」
井上さんは21年、息子が08年8月に水難事故に遭ったとして、次のように経緯を説明していた。
「当事8歳の息子はこの橋の下に浮いてました」
夏休みに従妹たちとともに祖母の家に遊びに行っていた息子は、海水浴を楽しんでいた。現場には100人くらいの海水浴客がいた。詳細な経緯は触れていないが、息子は心肺停止の状態に陥ってしまったという。偶然居合わせた医師、救急救命士、看護師が急いで蘇生に尽力したという。さらに、各現場の人々の判断に救われたという。
「地元の病院では手に負えない状態だったのを、無線をキャッチした高知県消防防災航空隊が独断でヘリを飛ばしてくれたこと。この流れが無ければ生きていなかった。ラッキーでした」
息子の心臓は10分以上止まっていた。医師からは「意識が戻らなければ植物人間かも」「社会復帰は無理」などと言われたという。しかし息子は意識を取り戻し、数か月後には学校に通えるようになったとのことだ。
「心肺停止10分以上からの社会復帰例は極めて少ないとのことで、リハビリ病院の先生からも漫画を描くことを勧められたけど、話が出来すぎてて読み物として面白くないかも...で現在に至る」
子連れで海水浴に行く人には「絶対に子どもから目を離さないでください」と呼び掛ける。
「感謝の気持ちしかないです」
23年6月8日の井上さんの投稿によれば、息子の救助事例は小児高次脳障害の専門医の本で紹介されるなどしたという。
そんな息子も20歳を超え、先月に就職した。井上さんは息子の蘇生に携わった人々に改めて感謝する。
「感謝の気持ちしかないです」
息子は「父の日まで飲んじゃダメ」と、日本酒を2本用意してきたという。井上さんは長年「禁酒すると言って実行できてないでござる‥」などとツイートしてきているが、「あと10日もあるやん」などと息子と酒を飲める日を楽しみにしている。
15年前に事故で99%死んでた息子、たくさんの方の力で助けられ、先月就職しました。https://t.co/kXYXwxFc39
— 井上正治 (@inouemasahal) June 8, 2023