新しい制度に移行するとき一時的なミスはある
問題は(4)だ。これはマイナンバー所有者にはなんの落ち度もなく、システム会社が責任を負うべきミスだ。システムに負荷がかかった時に、エラーが出ずに前の情報で処理してしまったというのが真相らしい。
住民は自分のデータが使われたときには、その通知を受けるなどで知る権利がある。それを徹底して、誤った使用がないようにするなど、ミスを前提として、大きなミスに繋がらないような対策を講ずるべきだろう。
同時にシステム会社にも大きな責任があることを認識すべきだ。
いずれにしてもマスコミは13万件とか大きな数字を出す時には比率0.2%も同時に見たらいい。
また、新しい制度に移行するとき一時的なミスはある。一方、移行しないときは、コロナ危機で他国では行えた給付金を即座に国民口座に振り込むなどの政策をできない永続的なデメリットもある。一時的なミスと永続的なデメリットの両方をよく比較考慮してほしい。
++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣官房参与、元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。20年から内閣官房参与(経済・財政政策担当)。21年に辞職。著書に「さらば財務省!」(講談社)、「国民はこうして騙される」(徳間書店)、「マスコミと官僚の『無知』と『悪意』」(産経新聞出版)など。