阪神が2023年6月8日の楽天戦(楽天モバイル)で今季初のサヨナラ負け。敵失から一時は逆転したが、勝利の女神は微笑まなかった。守護神・湯浅京己が1点リードの9回に連続四球で2死一、二塁とピンチを作ると、小深田大翔に右翼席へ逆転3ランを被弾。湯浅は肩を落として一塁ベンチに引き上げた。
「救援陣をテコ入れしても問題ない」
首位を快走している阪神にとって、手痛い敗戦ではない。ただ、湯浅の状態が気がかりだ。右前腕の張りで4月16日に登録抹消。リハビリ期間を経て5月26日に復帰したが、安定感を欠いている。3日のロッテ戦(甲子園)も3点差の9回に登板して3安打を浴び、同点に追いつかれた。復帰後6試合で無安打に抑えた登板は1試合のみ。スポーツ紙デスクは、こう指摘する。
「直球、フォークを操れていない感じがします。自信を持って投げている感じでなく、腕が振れていない。ファームで再調整させるか、セットアッパーに配置転換した方が良いと思います。湯浅が故障で離脱していた期間は岩崎優が抑えで安定した投球を見せていたので、救援陣をテコ入れしても問題ないと思います」
プロ入団後に度重なる故障に苦しんだが、昨季大ブレーク。59試合登板で2勝3敗43ホールド、防御率1.09をマークし、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した。湯浅の生命線は、身長183センチの長身から角度のついた150キロを超える快速球と鋭く落ちるフォークだ。侍ジャパンにも選出され、3月のWBCで世界一に貢献した。今季は岡田彰布監督から守護神に指名され、春先は安定した投球を続けていたが、交流戦で2度の救援失敗により試練を迎えている。
他球団は当然研究してくる。23歳右腕はこの壁を乗り越えられるか。(中町顕吾)