テニスの全仏オープン混合ダブルスが2023年6月8日に行われ、女子ダブルスで失格処分となった加藤未唯(ザイマックス)、ティム・プッツ(ドイツ)組が優勝を果たした。マイケル・ヴィーナス(オーストラリア)、ビアンカ・アンドリースク(カナダ)組と対戦し、4-6、6-4、マッチタイブレークを10-6で制した。
「サラとマリエともまた良い試合をしたい」
4大大会初優勝を果たした加藤は、試合後の表彰式で用意していた英語のメモを読み上げ今大会を振り返った。スポーツ紙などの報道によると、加藤は「(今大会は)精神的にも大変でした。ここ数日が特に大変でした。女子ダブルスから色々なことがありました」とし、女子ダブルスでコンビを組んだアルディラ・スーチャディ(インドネシア)に言及した。
加藤は「組んでくれてありがとう」と感謝の言葉を口にし、「我々は失格処分になりましたが全力を尽くしました。また女子ダブルスで頑張りましょう」と前向きな姿勢を見せた。そして失格処分となった女子ダブルス3回戦で対戦したマリエ・ブズコバ(チェコ)、サラ・ソリベストルモ(スペイン)にも言葉を送った。
女子ダブルス3回戦は6月4日に行われ、第5ゲームのポイント間にネット際にいた加藤が自陣コートにあったボールをコート外に出すためバックハンドで返球。これがボールガールの頭部に当たり、ボールガールは泣き出してしまった。欧州メディアによると、加藤は主審に警告を宣告されたが、直後にブズコバとソリベストルモが主審に異議を申し立て判定が覆って失格になったという。
加藤は「ボールガールが無事であることを願っています」と少女を気遣い、「そして女子ダブルスで対戦したペアのサラとマリエともまた良い試合をしたいと願っています」とメッセージを送った。
「素晴らしい物語のひとつはハッピーエンドを迎えた」
失格処分を乗り越えての優勝は世界的に報じられた。
ソリベストルモの地元スペインメディア「MARCA」(WEB版)は「加藤はマイクの前で自分の正しさを証明する機会を逃さなかった」とし、ソリベストルモとブズコバは失格処分の恩恵を受けたが、主審にボールガールの健康状態に関心を示すよう求めて対戦相手の敗退を強要したとして多くの仲間から批判されたと伝えた。
ブズコバの地元チェコメディア「BLESK.cz」(WEB版)は、「失格となった加藤がブズコバにメッセージを送った」などのタイトルで記事を公開した。
記事では、テニス界では失格処分となった加藤を支持する波が高まり、ソリベストルモとブズコバの行動に対して批判的な反応が多かったと指摘し、「今年のローランギャロス(試合会場の別称)の素晴らしい物語のひとつはハッピーエンドを迎えた」と伝えた。
混合ダブルスで加藤とペアを組んだプッツの地元ドイツメディア「WELT」(WEB版)は、「プッツが日本人パートナーの加藤とともに予想外のタイトルを獲得した」とし、「最後に涙を誘うドラマが綺麗に終わった」と優勝を祝福した。
Miyu Kato didn't forget to thank her females doubles partner - Aldila Sutjiadi - after winning the mixed doubles ??
— Eurosport (@eurosport) June 8, 2023
She confirmed her decision to appeal her disqualification with Roland-Garros. pic.twitter.com/iGgCX5jtvM