法的問題はないのか、弁護士の見解
「人をジロジロ見ること」は法的に問題ないのか。弁護士法人・響の古藤由佳弁護士に話を聞いた。
――道端、電車、飲食店などで、知らない人をジロジロ見ることは法的に問題があるのでしょうか。法的問題がない場合、その理由をお聞かせ願えますか。現状「マナー」や「道徳」の問題となっているのでしょうか。法的問題がある場合、認められるのはどのようなケースなのでしょうか。
古藤弁護士:法的問題があるかないか、について、刑事責任が生じうるか否か、という問いに置き換えて考えると「知らない人をじろじろ見ること」は原則として刑事罰の対象にはなりませんが、じろじろ見ながら付きまとわれる、ほどまでになった場合には軽犯罪法やストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)に違反し、刑事罰が科される可能性があります。
一般的に、道端や電車、飲食店などでじろじろ見られることがあったとしても、基本的にはすれ違った後や電車や飲食店から離れた後までそれが続くことはないと思いますので、この場合は法的な問題にはなりません。
となると、ご指摘のとおり、社会常識・マナーの範疇の話になると思います。
――職場など、あるコミュニティの中で特定の人から恒常的にジロジロ見られることがある場合は、法的に問題があるのでしょうか。
古藤弁護士:刑事責任が生じるか否かについては、上記のとおりです。
上記と異なるのは、職場などの特定のコミュニティ内で迷惑行為(じろじろ見る)が行われる場合、相手もこちらの名前や住まいに関する情報を認識している場合が多く、行為がエスカレートしやすい、ということです。
エスカレートしてしまった場合には、既述の軽犯罪法やストーカー規制法違反ということで処罰されることになります。
――見られていると感じた人はどのような行動をとるべきかお聞かせ願えますか。
古藤弁護士:既述のとおり、ただ単に誰かを見る、という行為について犯罪は成立せず、じろじろ見ることが犯罪になるのは、それが付きまといや監視と評価される程度になった時です。
したがって、一度見られたからと言って直ちに通報、というのは少しやりすぎな印象です。
ただし、同一人物からの迷惑行為が続き、付きまとわれるなどした場合には、将来的に刑事責任を追及することになるかもしれませんので、迷惑行為について、家族や友人に相談したうえで迷惑行為を動画や写真で記録できると良いです。