衆院小選挙区の「10増10減」をめぐる選挙区調整で、山口県に4つある選挙区が3つに減少する。これにともなう公認争いを、林芳正外相が制することになりそうだ。
林氏は2012年の総裁選に出馬した経験があり、将来的な首相候補と見る向きもある。参院議員だという点がネックだと考えられてきたが、21年の衆院選で衆院へのくら替えに成功。外相を経験し、選挙区の地盤を固めたことで、首相への道が1歩近づいたともいえそうだ。林氏は23年6月2日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見し、記者から「首相になるために何をすればいいか」を問われ「知っていたら必ずやるだろう」と意欲を示していた。
昭恵氏の吉田氏支援は「山口から9人目の首相を目指すという野望を脅かすか」
「10増10減」では、現3区(下関市、長門市)に現4区(宇部市、山口市の一部など)を編入する形で新3区になる予定だ。現3区から林氏、現4区から安倍晋三・元首相の後継にあたる吉田真次氏が当選。新3区で公認候補になるための選挙区支部長の座を2人で争う形になっていた。6月7日になって、林氏を新3区の支部長に選び、吉田氏を比例中国ブロックで処遇しようとする動きが表面化。党本部で調整が続いている。
この公認争いは、首相へのステップのひとつとみなされているようだ。6月2日の会見では、昭恵氏が吉田氏を支援する動きが伝えられたことを念頭に、
「安倍一族があなたを支持しないことに失望しているか。(この動きは)山口から9人目の首相を目指すという野望を脅かすか」
という質問が出たが、林氏は
「自民党の山口県連は新支部長を決めるプロセスにあり、動きを注意深く見守っている」
と述べるにとどめた。