共産党の小池晃書記局長は2023年6月6日の記者会見で、党淡路地区委員会が南あわじ市議会議員の蛭子智彦氏(65)を除籍したことを明らかにした。
共産党では、党首公選制の導入を求める著書を出版するなどして党規約が禁じる「分派」活動を行ったとして、23年に入ってから古参党員の松竹伸幸氏(68)、鈴木元氏(78)を相次いで除名処分にしている。両氏に同調して「党綱領・規約を全面否定する考えをSNSに投稿」したことなどが除籍の理由だという。党のあり方をめぐる発言を理由に党を追われたのは、蛭子氏が少なくとも3例目。蛭子氏は、SNSの投稿は党改革のためだと説明しており、「なかなかむなしい結果になった」と話した。
「党の力がじりじりと落ちていっている」
蛭子氏がツイッターに公開した「処理確定書」によると、除籍の理由は大きく2つあり、1点目が「松竹信幸、鈴木元両氏に同調して、党綱領・規約を全面否定する考えをSNSに投稿」(原文ママ)した点。2点目は、会派を離脱して新会派を立ち上げ、離党を宣言したことを指摘している。
小池氏は記者会見で、
「そういう行為は、党の地区委員なので、それにふさわしくない重大な問題であるということと、党の規約第4条では党の綱領と規約を認めるということが条件になってるわけで、そういう資格を失った党員だということで、機関からの罷免処分を行って除籍という措置を取った」
などと話した。
蛭子氏はツイッターで
「民主集中制をやめ党首公選を導入し、国連が機能しない限り、自衛隊と安保を容認する、政党助成金も受け取る。この改革をしてもなお党が伸びないなら、党はなくなるかもしれない」(4月12日)
などと、現在の党の方針と異なる主張を展開してきた。こういった点が問題視されたとみられる。2点目の会派離脱については、SNSでの発言をきっかけに党員としての権利を制限されるようになったとして、ツイッターで
「党籍あるものの権利制限を受け会議に参加することが出来ず、団としての意見調整が不可能との判断」(4月15日)
だと説明。離党の宣言も、その延長線上にあるようだ。
J-CASTニュースの取材に応じた蛭子氏によると、幅広い議論が「政党を活性化させていく」として、議論を活性化して党の現状を変えるためにはSNSでの発信以外に方法がなかったとしている。
「それ(開かれた議論)にはなじまない制度(民主集中制)を導入しているからこそ、党の力がじりじりと落ちていっている。見渡せば老人ホームなのではないか、という状況になっている。これでいいのか、ということを言う方法としてSNSしかない。横の連絡も禁じられているわけだし、異論を言っても上で封殺してしまう。幅広い人に声をかけて議論の材料を提供するということが不可能な組織になっている。そんなことで、この社会の方々がこの政党を受け入れるとは到底考えられない。だから改革を...ということだが、なかなかむなしい結果になった」