プロ野球の「乱闘」なぜ減少?元巨人コーチ分析 「きっかけになるものがどんどん減っている」

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   プロ野球の乱闘がここ最近減っている。2023年5月20日に横浜スタジアムで行われたDeNA対ヤクルト戦では、7回に死球を受けたDeNA宮崎敏郎内野手(34)が、マウンドの小澤怜史投手(25)に詰め寄り両軍ベンチから選手が飛び出し一触即発ムードが漂ったが乱闘には至らなかった。

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「代表の招集回数が昔に比べて圧倒的に多くなった」

   プロ野球の歴史を振り返ると、過去に死球や危険球、激しいスライディングなどをきっかけとした乱闘は珍しいものではなかった。ところがここ近年、乱闘は減少傾向にある。一体なぜか。J-CASTニュースは、楽天、巨人、西武、ヤクルトでコーチを歴任した野球解説者の橋上秀樹氏(57)に話を聞いた。

   現役時代、ヤクルト、日本ハム、阪神でプレーし数多くの乱闘を経験したという橋上氏は、「乱闘が減っている要因はいくつか考えられます」とし、球界を取り巻く環境などを解説しながら分析した。

「まずは球団の垣根を越えて日本代表の招集回数が昔に比べて圧倒的に多くなったということが挙げられると思います。昔は他球団の選手と一緒にプレーするのはオールスターぐらいでしたし、異なるリーグの選手と一緒になることはありませんでした。しかも数日間ですから寝食を共にするということはありませんでした」

   そして「代表に入ると合宿を含めてかなりの時間を一緒に過ごしますので、親しくなる具合がだいぶ違います。代表に招集されたことがきっかけとなって横の繋がりが増え、他球団の選手と共に自主トレすることが多くみられるようになりました。このように横の繋がりで選手同士が親しくなったのも乱闘が減った大きな要因だと思います」と説明した。

   橋上氏は死球やコリジョン(衝突)ルールが導入されたことも乱闘が減少した要因であるとし、次のように持論を展開した。

「一番顕著なのがデッドボール」

「ここ最近、乱闘のきっかけになるプレーが減っている。一番顕著なのがデッドボールです。デッドボールの数が昔と比べてかなり減っている。あとはコリジョンルールが導入されたことによってホームでのクロスプレーがなくなったということです。ホームでの衝突で骨折する選手もいましたし、特に外国人選手は激しく当たりにくるのが当たり前でしたから。セカンドへの激しいスライディングもそう。乱闘のきっかけになるものがどんどん減っている」

   過去には外国人選手の死球などをきっかけに乱闘に発展するケースも見られた。橋上氏は、各球団が外国人選手を獲得するにあたり素行など性格的な面を重視するようになってきたと指摘。これも乱闘が減少しているひとつの要因だと考えている。

「乱闘はかなりの割合で外国人選手が絡んでいました。球団としてはイメージが悪くなりますし、教育的立場を考えると子供たちへ悪影響になりかねない乱闘を極力避けたいと考えていると思います。性格に問題があると、調査の段階で最初からNGを出しているケースもあるでしょう。今はボールをぶつけられても何ひとつ文句を言わずに1塁に向かう選手がほとんどで、ジェントルマンが非常に多い」

   橋上氏は、現役時代に経験した印象に残っている乱闘に言及。ヤクルト時代の1993年9月の巨人戦で、当時ヤクルトの金森栄治外野手が巨人の橋本清投手のビーンボールに激怒し乱闘に発展した。橋上氏によると、巨人の堀内恒夫投手コーチのユニホームがヤクルトの選手によってボロボロに破られ、かけていた眼鏡が曲がったという。

   橋上氏は上記の様々な要因を踏まえ、「子供に対する悪影響を避けたいというのがNPB(日本野球機構)をはじめ野球界の考えでもあるでしょうし、乱闘は今後減っていく一方だと思います」との見解を示した。

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