栃木県内のJR東北本線で、寝台特急カシオペアを撮ろうと鉄道ファンの若い男性3人が線路内に侵入する様子を撮った動画が、ツイッターに投稿された。
男性らは特急が緊急停車すると、現場から走って逃げていた。栃木県警の矢板署は、「刑事告発はまだありませんが、必要があれば捜査します」と取材に話している。
3人は現場から走って逃げた
線路の横の砂利が敷かれた部分に、男性3人が横並びになってカメラを構えている。カシオペアは、3人にすでに気づき、警笛を鳴らして、近づいている。
動画を見ると、3人の少し先にある水田のあぜ道のような場所には、数十人の鉄道ファンが集まり、脚立に立つなどして撮影していた。
カシオペアが至近距離まで来ると、3人は線路から離れて、踏切の方へ走り出した。そのまま踏切を横切り、踏切そばに置かれてあった荷物を持って、うち2人はさらにあぜ道のような場所を走って行く。1人は、踏切と交差する道路を手前側に逃げて行った。
2人は左に曲がってから、小さな橋を渡り、さらに左の方へ去って行った。
この動画は、47秒あり、投稿者の友人が拡散を希望しているとして、2023年6月3日に投稿された。3000万回以上再生されており、大きな反響を呼んでいる。
投稿者の友人で東京都内在住の男性(30)は5日、J-CASTニュースの取材に応じ、3人は、どこからかは分からなかったが、カシオペアが到着する1分ほど前に急に現れたと話した。
「3人でしゃべっていましたので、おそらく同じグループだと思います。スマホで動画を撮っていると、うち1人が『撮影されている』と他の2人に教えていました。撮影を避けて逃げていたようで、二手に別れたのは、目をくらますためだったと思います。こんなことをすれば、特急の利用者に迷惑をかけますし、鉄道ファンも肩身の狭い思いをすると思いますので、迷惑でしかないですね」
警察に被害届を出すかについては、「特段公表していない」
投稿者友人の男性は、3人を撮影した後にJR東日本に電話したが、受付時間外だったという。刑事告発は特別に考えていないとしたが、JRや警察から要請があれば、動画提供などの協力をしたいとしている。
この時の様子については、数十人集まった鉄道ファンのうちの1人が、線路立ち入りを知ったときの動画をユーチューブに投稿している。動画には、カシオペア以外ほとんど映っていないが、「止まる」「あ、あ、おい!」といった騒ぎになり、「止まっちゃったじゃん、あーあ」「捕まえて来いよ、ちょっと」「逃げた」「走ってる、走ってる」との声が記録されていた。
JR東日本の首都圏本部が6月5日、取材に答えたところによると、3日18時ごろ、栃木県内の東北本線・蒲須坂―片岡両駅間の踏切近くで、上野発青森行きのカシオペア臨時列車が線路脇に人の立ち入りを見つけ、非常ブレーキをかけて緊急停車した。
乗務員が安全を確認して、線路内に人がいなくなったことから、14分後に運転を再開した。このトラブルで、特急を含め3本に最大14分の遅れが出た。けが人の情報は入っていないという。警察に被害届を出すかについては、「特段公表していません」と答えた。
3日は、赤いボディカラーで人気のある国鉄時代からのEF81形電気機関車がカシオペアの客車をけん引していた。
栃木県警の矢板署は5日、取材に対し、次のように答えた。
「当時は、警察への通報はなく、警察官は現場へは行っていません。ツイッターの動画については、存じ上げております。刑事告発はまだありませんが、必要があれば捜査します。鉄道ファンに対する苦情などは、特に来ていません」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)