水際対策の緩和・撤廃が進む中、日韓の往来が急回復している。韓国観光公社が2023年5月30日に発表した韓国観光統計によると、23年4月に日本から韓国を訪れた観光客は12万8309人で、前年同月の2231人から57.5倍に増えた。 ただ、「コロナ前」の19年4月には29万0092人訪れていたことを踏まえると、44.2%の水準に過ぎない。韓国から日本を訪れる人が「コロナ前」8割超の水準に回復しているのとは対照的だ。
2022年8月から「ビザなし」復活
発表によると、23年4月に国外から韓国を訪問した観光客は88万8776人。19年4月(12万7919人)の6.9倍で、19年4月(163万5066人)比で54.4%だ。国・地域別で最も多いのが日本で、前出のとおり12万8309人(19年4月比44.2%)。2位以降は米国(10万8818人、同106.1%)、中国(10万5967人、同21.5%)、台湾(7万7187人、同68.2%)、タイ(5万4431人、同78.0%)、ベトナム(4万0640人、同64.3%)が続く。
韓国は22年6月に日本人に対する観光ビザの発行を再開し、8月からビザなしで入国できるようになった。このことが追い風になっていることに加えて、韓国観光公社の発表では、ゴールデンウィークの日程が重なったことも増加の要因になったとみている。
日本人の入国経路別に見ると、仁川空港が全体の61.1%を占めた。次に多かったのがソウル都心部に近い金浦空港の23.7%。釜山近郊の金海空港から入国した人も9.6%いた。19年4月の3空港の割合は54.9%、21.6%、14.2%。格安航空会社(LCC)の就航が多い仁川空港の存在感が増し、首都圏への集中が加速していることがうかがえる。
韓国→日本は「コロナ前」8割超に回復
一方、日本政府観光局(JNTO)が5月17日に発表した23年4月の訪日外国人客数(推計値)では、韓国からの訪日客は46万7000人。22年4月の7699人の約60.7倍だ。19年4月の56万6624人と比べて82.4%まで回復している。
JNTOの発表では、韓国では旅行のオフシーズンを迎えているとする一方で、「日本側の水際規制緩和、日本各地への地方路線復便の回復等の影響」で訪日客数が伸びたと分析。
「仁川~福岡間の増便などもあり、日本への直行便数は前年同月に比べ回復傾向にある」
とも指摘している。
23年4月の訪日外国人客数全体は194万9100人で、19年4月の66.6%の水準。国・地域別で最も多いのが前出の韓国で、2位以降は台湾(29万1600人、同72.3%)、米国(18万3900人、同108.0%)、香港(15万2800人、同78.4%)、タイ(12万1000人、同73.4%)、中国(10万8300人、同14.9%)が続いている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)