全日空(ANA)は2023年6月3日、人気ゲーム「ポケットモンスター」のキャラクター「ピカチュウ」などをデザインした特別塗装機「ピカチュウジェットNH」(ボーイング787-9号機)を羽田空港の格納庫でお披露目した。
ANAがポケモン塗装機を飛ばすのは、16年4月まで運航された「ピース★ジェット」(ボーイング777-300型機)以来7年ぶりだ。国内では、すでにスカイマークがピカチュウをあしらった飛行機を2機飛ばしており、複数の航空会社が同時に「ピカチュウジェット」を飛ばすのは異例だ。
無償でライセンス供与、塗装費用もポケモン側が負担
ANAが初めてポケモンのキャラクターをデザインした機体を就航させたのは「ポケモンジェット」の1998年。それ以降、ボーイング747-400型機や767型機など多数の機体が活躍した。
今回の特別機は、ポケモンのライセンス管理を行っている株式会社ポケモンが21年に始めた「そらとぶピカチュウプロジェクト」の一環だ。機体は、ドラゴンがモチーフの緑色のキャラクター「レックウザ」が全体にあしらわれ、その周辺にピカチュウやトゲキッス、リザードン、エモンガといったキャラクターが「ピカチュウと一緒にみんなで希望の光へと進んでいる」様子を描いた。
内装も「ポケモン仕様」だ。客室乗務員(CA)のエプロンはブルーとピンク2種類あり、ピカチュウをあしらったデザインだ。カクテルナプキン、紙コップ、ヘッドレストカバーも独自デザインで、搭乗時にはポケモンの世界を感じられる音楽を流し、記念品として木札・ステッカー・搭乗証明書の3点セットを配る。
プロジェクトは、コロナ禍を経て自由に移動できるようになった時に
「ポケモンでより楽しく彩られた、ワクワクするような日々をお届けしたい」
「『ピカチュウジェット』で世界の空をつなぎ、行く先々でそらとぶピカチュウたちが素敵な思い出をお届けできるように」
という思いで発足。ポケモン広報室によると「CSR(企業の社会的責任)の一環」で、無償でライセンスを供与し、塗装費用もポケモン側が負担している。CSRという特性を踏まえて「1業種1社」にはこだわらなかった、としている。
ANA国際線のポケモン塗装機は17年ぶり
21年6月にスカイマークの「ピカチュウジェットBC1」(ボーイング737-800型機)が就航したのを皮切りに、シンガポールの格安航空会社(LCC)「スクート」の「ピカチュウジェットTR」(ボーイング787-9型機)、台湾のチャイナエアラインの「ピカチュウジェットCI」(エアバスA321neo型機)、韓国のLCC「ティーウェイ航空」の「ピカチュウジェットTW」(ボーイング737-800型機)が相次いでお目見え。22年5月にはスカイマークの2機目「ピカチュウジェットBC2」(ボーイング737-800型機)も就航しており、今回の「ピカチュウジェットNH」が6機目だ。
初便は6月4日朝に羽田からバンコクに向けて出発するNH847便を予定。今後、羽田と東南アジア各地やシドニー、デリー、バンクーバー、ホノルルを結ぶことになっている。ANAのポケモン塗装機が国際線にお目見えするのは06年まで運航された「ポケモンジェットインターナショナル」(ボーイング747-400型機)以来17年ぶり。
「ピカチュウジェット」以外にも、ポケモンのキャラクターをあしらった特別塗装機は就航中だ。エア・ドゥ(札幌市)の「ロコンジェット北海道」(ボーイング767-300ER型機)とソラシドエア(宮崎市)の「ナッシージェット宮崎」(ボーイング737-800型機)だ。「ピカチュウジェット」は「世界の空をつなぐ」ことを掲げているのに対して、この2機は地域振興に主眼を置いている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)