「あ!Twitterで見たから知ってる!!あかん花なやつ!!!」。自生していた植物を写真つきで報告したツイートが反響を呼んだ。違法なケシと見られるものだったという。
投稿には「知らなかった。普通に自生してる事あるのね」などと驚くような声も寄せられた。厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の担当者は「なかなか一般の人で『違法だ』と確信を持てないと思うので『違法なのかな』と思ったら通報してください」と呼びかけている。
「最近ツイッターで見た花に似てるな...」
反響を呼んでいるのは、「すずまり」(@Suzumari_)さんが2023年5月12日に投稿したピンク色の花の写真。すずまりさんは「あ!Twitterで見たから知ってる!!あかん花なやつ!!!ってなった」とし、「でもどこに通報したら良いかは知らなかったから交番に言いに行った 本当にあかんのだったらしい」と伝えた。
厚労省公式サイトに掲載されているパンフレット「大麻・けしの見分け方」によると、ケシ属植物の中には園芸用として人気のものがある一方、法律で栽培が禁止されているものもある。「不正大麻・けし撲滅運動」の実施について伝えた同省公式サイトの情報によると、あへん系麻薬の原料となるケシは、あへん法などにより栽培免許を持つ人以外の栽培が禁止されている。
18日に取材に応じたすずまりさんによると、花を見つけたのは関東の住宅地。すずまりさんがフォローしているユーザーが、自生している違法なケシの花の写真を1日に投稿しており、リプライで「交番に行った」と書かれていたのを覚えていたことが役に立ったという。
すずまりさんは花を見かけたときのことを「『最近ツイッターで見た花に似てるな...』と思いつつ通り過ぎた後に『やっぱり最近見たあかん花じゃないかな!?』と確認しに戻りました」と振り返る。写真を撮り、地図アプリで場所を控えて交番に向かったという。
交番で警察官に違法なケシを見かけたと話すと...
警察官に「インターネットで見た危ない花を見かけたのですが判断がつかなくて」と写真を見せると「これは多分いかん奴ですね」と対応された。場所を教えると結果を報告するための連絡先を聞かれたという。すずまりさんは「違ったら悪い」と一度断ったが「でも結果知りたいでしょ」と言われ連絡先を伝えた。
その日の夕方、保健所で駆除した旨と他にも花がないだけでケシが生えている旨を伝えられ、「協力ありがとうございました。まだこれから花のシーズンなので見かけたらお願いします」と感謝されたという。すずまりさんは「役に立ってよかった~ってほっとしました」と振り返る。
管轄の保健所は取材に対し「要請を受け、実際に現場で現物を見て違法と判断し、駆除しました」としている。「違法だと疑わしいものがあれば保健所や警察に情報提供してください」とも呼びかけた。
冒頭の投稿に対しては「知らなかった。普通に自生してる事あるのね」「私ならおしゃれなポピーだと思ってしまう」といった驚くような声が寄せられていた。
「怪しいなと思ったら通報してください」
厚労省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課の担当者は19日、取材に対し、違法なケシの見分け方は前出のパンフレット「大麻・けしの見分け方」を参考にするよう勧めた。
パンフレットによると、違法なケシであるソムニフェルム種のケシやセティゲルム種のアツミゲシの茎上部の葉は「茎を抱き込む」形をしている。ソムニフェルム種のケシの葉、茎、つぼみの表面には「ほとんど毛がない」。違法なブラクテアツム種のハカマオニゲシには、つぼみの表面の毛が「寝ている」という特徴があるという。
担当者は、ケシを見つけた際は「『怪しいな』と思ったら薬務課や保健所などに通報していただきたい」と伝える。「実際に通報を受けて違法なものではなかったということもある」とし「なかなか一般の人で『違法だ』と確信を持てないと思うので『違法なのかな』と思ったら通報してください」と話す。
同課は5月1日から6月30日まで「不正大麻・けし撲滅運動」を全国で実施している。運動は「不正栽培や犯罪予防の観点から各地に自生している大麻やけしを撲滅するため、昭和35年から大麻やけしの発見と除去、正しい知識の普及・広報啓発を毎年、展開している」ものだという。
担当者によると、5月から6月のタイミングで撲滅運動をするのは、1年の中でケシが最も咲く時期のため。日本の南の方から先に咲いていくため、九州では4月から撲滅運動をしているところもあるという。同省公式サイトの情報によると、北海道は6月から9月に実施している。