防御率6.86...DeNAバウアーなぜ打たれる? 元巨人コーチが指摘する「中途半端なコントロールの良さ」とは

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   プロ野球DeNAのトレバー・バウアー投手(32)が2023年5月27日、バンテリンドームで行われた中日戦に先発し、6回7安打2失点でマウンドを降りた。チームは2-3で敗れたがバウアーに勝敗は付かなかった。29日時点で1勝2敗、防御率6.86の数字を残している。

  • バウアー投手(写真:AP/アフロ)
    バウアー投手(写真:AP/アフロ)
  • バウアー投手(写真:AP/アフロ)

「中日に限っていえばクセは分かっていないと...」

   日本デビュー戦となった5月3日の広島戦は7回1失点で初勝利を収めたが、5月9日の巨人戦では6回11安打7失点(自責6)で来日初黒星。続く16日の広島戦は2回8安打7失点でKOされ2連敗を喫した。4試合を投げ合計33安打、7本塁打を許し苦しいマウンドが続いている。

   大リーグの年間最優秀投手に贈られるサイ・ヤング賞を20年に受賞した右腕は完全復活できるのか。J-CASTニュースは、巨人で戦略コーチを務めた野球解説者の橋上秀樹氏(57)に今季のバウアーの投球を分析してもらった。

   橋上氏はバウアーが打ち込まれた巨人、広島戦と比較して中日戦ではひとつ変化が見られたと指摘した。

「懸念だったナックルカーブの回転の角度が縦になりつつあるのが何球か見えました。左バッターが空振りやファールにするような球です。角度的なものが縦に近くなっていました。前回まではスラーブのような軌道でナックルカーブのものではありませんでした。今回は比較的ナックルカーブとスライダーの区別がつくようになっていた。縦変化が強くなれば左バッターはそれほど簡単に捉えられない」

   巨人、広島戦では連打を許し連続7失点したことで野球解説者から「投球フォームのクセが見破られているのではないか」と指摘する声も上がった。橋上氏もクセが見破られた可能性を考えたというが、「中日に限っていえばクセは分かっていないと思います。クセが分かっているような打ち方には見えませんでした」との見解を示した。

   被安打、被本塁打、失点が多い要因としてコントロールを挙げ、日米の公式球の違いにも言及した。

「ベルト付近の球が非常に多い」

「ボールが暴れないというのがバッターにとって絞りやすい。インコースにそれほど危険な球が来ないし、かといって四隅にもこないのでバッターが安心する。ストライクゾーンに来る球がコースを含めて高さ的に甘い。ベルト付近の球が非常に多い。高低やサイドを使われると、それに対してバットの軌道を変えなければならないが、何度も同じ高さの球が来ると目も体も慣れてミートしやすくなる。中途半端なコントロールの良さが痛打される原因になっている」

   そして「メジャーリーグの球の方が球の縫い目が高い分だけ変化球の切れが増す。スライダーなんかも曲がりすぎてしまうくらいに。それを考えると日本の球だと変化量が多くないかもしれません。空気抵抗が少ない分だけ変化球の曲がりが少ない。球が滑る、滑らないという話とは別にして。メジャーリーグで投げている時よりナックルカーブで空振りが取れないというのは、色々な要因があるなかでも球の違いも挙げられると思います」と分析した。

   橋上氏は今後の課題として制球力に加えて右打者に対するインコースの球の重要性を指摘した。試合ごとにストレートの威力が増し、得意のナックルカーブも少しずつ本来の軌道を取り戻しており、今後は配球面に気を配ることが必要になるとした。

「スライダーを使っていくのであれば対になるインコースの速い球が配給の上では必要。一方向の球だけではもたない。もう少しインサイドを見せる工夫をしないとなかなか抑えきるのは難しいかもしれない。次回以降、もう少し高さがひざ元に集まるとか、高めのボール球を使うだとか、インコースのボール球を使うだとか。配球を含めてそういったものを入れていけば成績が変わってくると思うが、コントロールが今のままだったらきついでしょう」

   セ・パ交流戦が5月30日に開幕し、バウアーの次回登板は6月2日からの西武との3連戦の可能性が高い。

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