アイドルグループ「嵐」の二宮和也さんらが出演するYouTubeチャンネル「ジャにのちゃんねる」で、黒人男性が日本語でメッセージを読み上げる動画が使われ、SNSでは賛否両論が起こっている。
動画はインターネットサービス「世界からのサプライズ動画」を通じて作成された。運営会社は2023年5月23日夜、批判に対し、「彼らは決してアフリカ系の方達を『笑い物にしている』のではありません」とツイッターで反論した。
「片言の日本語でボードに書かれたメッセージを読み上げる」
「世界からのサプライズ動画」とは、MIYABI INTERNATIONAL(台湾・新北市)が運営する有料の動画メッセージサービスだ。「アフリカの他、エジプト、タイ、ウクライナにネットワークを持ち、現地からご希望のメッセージを動画にしてお届けします」と公式サイトで紹介している。
家族や友人に向けたサプライズのほか、インフルエンサーやユーチューバーが自身のコンテンツを宣伝する手段として使う場合もあるという。その理由について「異国の方々が片言の日本語でボードに書かれたメッセージを読み上げるという、微笑ましくもインパクトのある動画となります」と説明する。
注文一覧には、アフリカ大陸に位置する国の「狩猟民族からのサプライズ動画」のほか、「原住民」「パーティー隊」「子供たち」「セクシー美女」などと称したサービスが展開されている。また、「ウクライナ セクシー美女」などのサービスもある。
同様のサービスは他にも存在する。例えば、一般社団法人WORLD SMILE(東京都中央区)もMIYABI社と同じ名称で提供している。また、海外利用者向けも存在しており、人種差別の観点から大手メディアで報じられた例もある。
今回問題になったのは、ジャニーズ事務所に所属する二宮和也さんや中丸雄一さん、山田涼介さん、菊池風磨さんが出演する「ジャにのちゃんねる」で、上記のサービスを紹介しながら、ザンビア共和国の複数の黒人男性が同チャンネルの2周年を祝う動画を作ったことだ。今後は動画のエンディングで使用するとした。
これに対し、SNSでは賛否両論が起こっている。「これが世界的に人権問題になっているのを知らないのかな」「カタコトの日本語で"言わされている"のを笑える浅はかさと無意識に見せ物にしているという自覚のなさ」などの批判がある一方、「差別だって言ってる方は、自分が差別意識があるからそう感じるのかな」「差別って言う人の方が差別してる」などの擁護もある。
「『自分の方が優位である』という潜在的な意識をお持ちなのでは」
こうした批判に対し、MIYABI社は5月23日夜、「ジャにのちゃんねるやそのメンバー、延いてはジャニーズ事務所さんたちを批判するのは、著しく筋違いです」とし、「彼らは決してアフリカ系の方達を『笑い物にしている』のではありません」と主張した。
また「私たちのサービスは『世界中の人々に笑顔をお届けしたい』をコンセプトに運営されており、搾取や出演強要などの人権問題は一切ございません」と断じた。「アフリカ貧困地域の皆様にご出演いただくことを差別と言う」人に対しては、アフリカ以外にも、ウクライナやバングラデシュの住民にも動画に出演してもらっていると説明した。
「私達のサービスを差別的だと言われる方は、私達の動画の出演者に対して『自分の方が優位である』という潜在的な意識をお持ちなのではないでしょうか」と持論も展開。どの国の撮影チームとも「人間として上も下も無くお互いのことを認め合っております」と述べた。
意見や批判の声を上げるのは問題ないとしつつも、「その矛先を、私達のサービスを純粋な気持ちでご利用いただき楽しんでいただいたジャにのの皆さんやその関係者、延いてはファンの皆様へ向けることは、くれぐれも慎んでいただきたく、批判をされている皆様にお願い申し上げます」と呼びかけた。