米国防総省の本庁舎(ペンタゴン)の近くで爆発が起きたとする偽の写真が2023年5月22日、SNSで広まり、株式市場などに混乱が広がった。
楽天証券やトレイダーズ証券など、日本の証券会社も拡散に加わっていた。
「SNS上の虚偽報告との指摘」
AFPやCNNなど海外メディアによれば、写真はAI(人工知能)で作成したものと推測される。
米ブルームバーグ通信を装ったアカウントや極右陰謀論「Qアノン」支持派のアカウントなどが広め、地元の消防局が否定する事態となった。米株式市場ではダウ工業株30種平均が一時下落し、ドル円相場にも影響を与えたとみられる。
日本でも混乱を招いた。影響力のある証券会社が「速報」としてツイートしたことが要因の一つだった。いずれも情報源は明示せずに投稿している。
「米国防総省(ペンタゴン)近くで大規模爆発 報道 #fx」(楽天FX)、「【ニュース速報】ペンタゴン(米国防総省)付近で爆発と一部報道」(トレイダーズ証券)、「【速報】米国防省(ペンタゴン)の近くで大規模な爆発が起こったと、一部報道されています」(てらす証券アドバイザーズ)。
楽天はその後ツイートを削除(23日10時までは存在)し、「米国防総省(ペンタゴン)付近で爆発や火災発生せず SNS上の虚偽報告との指摘」などと投稿。トレイダーズは「複数メディアの報道によると、『米国防総省(ペンタゴン)またはその近くで爆発や火災は発生していない』とのこと」と訂正投稿し、てらす証券はツイートを更新して「その後の続報では、元の情報源のツイートは現在削除されているとのことです」と追記した。
投稿を見た人からは「楽天FXのアカウントも爆発のツイートしていたのでまさかフェイクだとは思いませんでした」と証券会社の投稿が信ぴょう性を高めたとの意見や、「大企業の公式アカウントにも関わらず、きちんと真偽の裏取りをしていない情報を早計にSNSで拡散してしまうのは大きな問題」といった指摘が出ている。
Confident that this picture claiming to show an "explosion near the pentagon" is AI generated.
— Nick Waters (@N_Waters89) May 22, 2023
Check out the frontage of the building, and the way the fence melds into the crowd barriers. There's also no other images, videos or people posting as first hand witnesses. pic.twitter.com/t1YKQabuNL