銭湯でおなじみの黄色い湯桶「ケロリン桶」を両手で抱えて水に浮くアザラシの姿が、ツイッターで14万件の「いいね」を集めるほど話題になっている。投稿された写真に「癒やされる」「いい湯だなって感じね!」といった声が寄せられている。
このアザラシを飼育する北海道の水族館に詳しい背景を聞いた。
「おねだりの道具に使うのはさつきちゃんだけ」
話題となっているのは、ツイッターユーザー・ゆー(@yh__photos)さんによる2023年5月19日の投稿だ。「ケロリン桶を大切そうに持ってるアザラシがいた...可愛かった」と伝え、水面から上体を出したアザラシが、桶を両前ひれで抱えている写真を披露した。
投稿は3万4000件以上のリツイートや14万5000件超の「いいね」を集め、「これは癒やされる」「何この...この組み合わせ!可愛いぞ!?」「持ち方がたまらなく愛しい」「いい湯だなって感じね!」といった声が寄せられている。
撮影場所は、北海道にある「室蘭民報みんなの水族館(市立室蘭水族館)」だ。
同館の海獣類担当者は22日、写っているのは17歳メスのゼニガタアザラシ「さつき」だとJ-CASTニュースの取材に答えた。さつきは桶を持つだけでなく、前ひれで小刻みに叩く。「それで餌をもらえるというのが分かっている」といい、飼育員へのおねだりに使うのだと説明する。
「餌やりの時間じゃない時に、ぷかぷか浮いてる桶をかぶって遊んだりする子はいるんですけど。おねだりの道具に使うのはさつきちゃんだけです」
さつきの性格に関しては、アピールをするほど食いしん坊なのかと思いきや、飼育員から投げられた魚を他のアザラシに横取りされても怒らないと伝える。
実際、投稿者・ゆーさんも撮影後のさつきについて、「魚を持った飼育員さんが現れた途端、桶を激しく叩いて魚をおねだりしていました」と22日に取材で明かす。「私が見ていたのは僅かな時間でしたが、さつきちゃん以外が桶を持つことはなく、賢い子だなと感じました」と述べる。
きっかけは、実家が銭湯の職員の思い付き
先ほどの水族館への取材によると、ちゃんとした芸というわけではないものの、「長い間、さつきちゃんはケロリンを持ってアピールしております」。元々はサッカーボールでも遊ぶなど、物を掴むのが得意なさつき。ケロリン桶を持つようになったのは10年以上前だという。
当時、実家が銭湯を営んでいる職員がいて、家にあったケロリン桶を「アザラシが持ったら可愛いんじゃないか」と持参したのがきっかけだ。その後も、桶が色あせるたびに代替わりさせてきた。
桶を持つ仕草は以前から来館者に人気なだけでなく、テレビ番組に取り上げられた経験もあると振り返る。ただ、「ここまで反響があるのは初めて見ました」と驚いており、「(投稿をきっかけに)色んな方にさつきちゃんを見ていただけるのは凄いありがたい」と述べる。
「おねだり上手のさつきちゃん」の姿は、1日4回ある給餌のタイミングで見ることが出来る。うち1回は13時と決まっているが、残りの実施時間は定まっていない。注意点として、さつきの食欲が低下している時期には見られない場合もある。
担当者は、「写真だけでは伝わらない可愛さがあると思うので、ぜひご来館できる方はご来館していただいて、見ていただきたい」と呼びかけた。