多くの人が義足や義手に見慣れているのかもしれません
日本でこういう体験をしたことはなくて、初めてのことでした。義足の友達がいるので集まって一緒に出かけることはありますが、1人で出かけて義足ユーザーにバッタリ出会い、打ち解けるということはなかったです。もしかしたら今までに、日本でも義足ユーザーとすれ違ったことはあったのかもしれないけど、義足を使っていることを積極的に見せる人はそんなに多くない印象があります。
僕も含めて、今回のアイスランドでの3人は義足を見せることに抵抗がなく、むしろオープンにしていました。義足の3人が並んで話していたわけですが、周りから視線を感じることもなかった。この店に限らず、現地で出会った他の義足ユーザーも義足が見える状態にしている人が多かったです。空港などでも、僕が義足で歩いていて目立っていると感じることもなかったです。
アイスランドは世界的な義足メーカー・オズールの本社があって、多くの人が義足や義手に見慣れているのかもしれません。当事者はオープンにしている人が多いし、周囲は受け入れる態勢ができているように感じました。だから同じ空間で義足の人が複数人いても、違和感なく一緒にいられるんじゃないかと思います。日本で普段生活している時とは違う感覚でした。
この2人とはまた別の人ですが、バーで立って飲んでいたら、座って飲んでいたお客さんが話しかけてくれて「この椅子、使いますか?」と言ってくれました。僕は立っていたい気分だったので、感謝を伝えつつ立ったままでいたのですが、向こうから心のバリアを取り払ってくれたようで嬉しかったです。もちろん日本にもそういう方はたくさんいらっしゃると思うけど、日本よりも声をかけてくれる人は多いのかなと思いました。
良い意味で「いろんな人がいて当たり前」という感覚が広まっているのだと思いました。そうすると、自分と違う体の人がいても驚いたり指を差したりすることもなく、共存しやすくなる。逆に、義足に見慣れていないと一歩引いてしまうかもしれない。知ってもらうことは大切だと思います。
僕は当事者として義足でどんな暮らしをしているか伝えていきたいと、改めて思います。義足を見慣れていなくて接し方が分からない人も、たとえば電車やバスなどで見かけて気になったら声をかけてみるとか、ワンアクションあってもいい。そのアクションがあるかないかで、お互いの理解の進み方が全然違ってくるんじゃないかと思っています。
(構成:J-CASTニュース編集部 青木正典)