「傷が治るには、皮膚に3か月、子宮に1年がかかる」
その理由について、待木院長は、2つの点を挙げた。
「1つは、皮膚の切開創についてです。標準的なケースでは、それが治って皮膚の強度がしっかりとするには、3か月かかります。2つ目は、切ってから縫った子宮の回復についてです。次の妊娠まで、1年間は開けた方がいいと考えています。子宮は、妊娠していないときは鶏卵の大きさがあり、手術では、妊娠で大きく引き伸ばされた筋層を切開します。約2か月して元の大きさに戻った子宮には、まだ傷が付いており、次の妊娠で筋層が引き伸ばされると危険があります。例えるなら、風船に少し傷が付いた状態で膨らませると、傷が付いた場所が弱くなっていますので、押したら破裂してしまいますね」
イギリスなどでは、鎮痛剤のモルヒネを使って早く家に帰れる状況が多いことも考えられるが、待木院長は、こう指摘した。
「モルヒネは、痛みをコントロールしているだけです。傷が治るには、皮膚に3か月、子宮に1年がかかるので、数週間ではありません。膝や指を切ったときとは、まったく違います。帝王切開を経験された方なら、反発されるでしょうね」
大月書店の編集部長は5月18日、取材に対し、翻訳・解説者と意見交換するなどした結果、取材は断ることにしたと説明した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)