「大統領と首相という行政権の分担により、報道の自由の侵害を抑えることができた」
アジア太平洋地域で最も順位が高かった東ティモールは、ポルトガルの植民地支配やインドネシアによる統治を経て02年に独立。「アジアで最も新しい国」として知られる。
RSFの発表では、総論で
「この若い民主主義国家では、これまで業務に関連して投獄されたジャーナリストはいないが、2014年に採択されたメディア法はダモクレスの剣(編注:栄華の中にも危険が迫っていることを示す故事)のようにジャーナリストに垂れ下がり、自己検閲を促している」
と説明。「メディア法」に懸念を示す一方で、現時点ではどちらかと言えば前向きな書きぶりだ。「政治的背景」の欄では、
「独立国としての短い歴史の中で、大統領と首相という行政権の分担により、報道の自由の侵害を抑えることができた」
とも評価している。
国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが14年に出した声明によると、メディア法では表現の自由や報道の自由の権利を明示的に認める一方で、ジャーナリストとして活動するためには、メディアで6か月間にわたってインターンを行い、報道協議会で認定を受けることを求めている。声明では、この条項について
「フリーランスのメディア関係者、市民ジャーナリスト、学生ジャーナリスト、ブロガーなどは、ジャーナリストとしての活動を禁止される可能性がある」
と懸念を表明している。
ただ、RSFの発表では報道協議会について前向きに評価している。東ティモールのジャーナリストは誹謗中傷を規定した刑法の規定の悪用に「脅かされている」として、
「2015年に設立された報道協議会は、そのメンバーの選出過程が透明性に欠けるとはいえ、ジャーナリストが関わる紛争の平和的解決を促進することを目的としている」
と説明している。