国語辞典編纂者「SNSでの使われ方には、もっと細かいニュアンスがある」
「軽率」の意味について、国語辞典編纂者の飯間浩明氏はJ-CASTニュースの取材にこう解説する。
「『軽率』の『軽』は軽々しいということ、『率』は急に、にわかにということですから、全体では『よく考えないで行う様子』『軽はずみ』という意味になります。明治時代の和英辞典『和英語林集成』の説明を引用すると『Careless, trifling, heedless』(不注意な、軽薄な、思慮のない)と書いてあります。ケアレスミスの『ケアレス』ですね」
一方、日経校閲のツイートでは、SNSで最近使われるのは「『気軽』といった意味」と解説されている。このことについて、飯間氏は自身の反省も含めて答えた。
「実は、私の携わる『三省堂国語辞典』第8版(最新版)でも、『軽率』の(2)の意味として『〔俗〕気軽』と記したんです。元の意味の『軽はずみ』と明確に区別するため、こう説明しました。日経新聞の校閲もなるべく端的に説明しようとしたのでしょう。ただ、今のSNSでの使われ方には、もっと細かいニュアンスがあるのは確かです」
SNSの用法には「気軽」以外のニュアンスがあるのか。飯間氏はこう答える。
「これは多くの人が指摘するとおりですね。単に『気軽』というだけでなく、『軽はずみなのは重々承知だけれど』という弁明の意味も含まれています。たとえば、『軽率にどこか行ってみたさある』というのは、『気軽に出かけたい』という意味に加えて、『後先も考えないで』という、まさに『軽率』の元のニュアンスが含まれています。『軽率に惚れる』とも言いますが、これは『気軽に惚れる』とは言い換えにくく、『うっかり惚れてしまう』というような意味合いがありますね」