高知県土佐市が所有する観光施設に入居するカフェが、市の指定管理者から不当に立ち退きを強いられていると、ツイッターなどで訴えている。
事実関係ははっきりしないが、管理者のNPO法人理事長からセクハラなどもあったという。運営を委託している土佐市の建設課は、「対応が妥当か市の顧問弁護士とも協議して、近く市のサイトで公表します」と取材に答えた。
店長へのセクハラや店員らへのパワハラもあった?
訴えたのは、土佐市新居の仁淀川河口近くにある観光施設「南風(まぜ)」に入居するカフェ「ニールマーレ」だ。施設が2016年4月にオープンしてから、営業を続けている。
トラブルについては、カフェの30代女性の店長が23年5月10日、ツイッターでその経緯をイラストに示すなどして騒ぎが広がった。
その投稿や店のオーナーが11日にJ-CASTニュースの取材に答えたところなどによると、東京在住だったオーナーは、転職サイトで市から地域おこし協力隊のオファーを受け、高知に移住してニールマーレを開店した。同じころに移住した店長とともに運営していたが、施設の指定管理者になっているNPO法人で理事長を務める男性が、オーナーなどを「よそ者」扱いして度々運営に口出ししてきたという。店長に対して尻を叩くなどのセクハラ行為があったほか、店員らに大声を上げるパワハラ行為もあったとした。
その後、21年になって、理事長は、カフェに退去通告を伝えてきた。それは、NPO法人の決定を経ていないことから実現しなかったというが、22年6月には、法人の印を押した「利用中止通知書」が送られてきて、1週間以内に施設利用を中止するように求められた。市の職員がこのことを伝えに来たが、手続きに不備があったため、市は、この退去通告を取り消す措置を取ったという。 その後、カフェやNPO法人、市がそれぞれ代理人弁護士を立て、代理人間でやり取りが行われた。法人が新しい入居者の公募も行い、ニールマーレと理事長の知人がいる会社が応募し、知人の会社に決まったという。
3月24日には、法人から同月末の営業停止と4月末退去を求められた。それでも、4月は利用の許可が出たが、カフェが5月の利用を求めたところ、4月28日付で不許可になっている。
「セクハラやパワハラの事実関係は把握していない」
カフェでは、この決定に会員も理事も関与しておらず無効だと訴えたが、NPO法人からは、理事の合議を得ており有効だと5月11日に書面が届いたという。このことについて、オーナーは、次のように取材に明かした。
「今後に関してはどうするかはまだ考えあぐねているところです。立ち退きする事になれば私含めて従業員が職を失う事になるので本当に困ってます。またSNSの拡散が予想以上で、当事者である私たち、NPO法人、土佐市役所の3者以外にも大変なご迷惑をおかけしています。私たちの発信に共感してくださるのは本当にありがたいですが、どうか攻撃的になることは控えていただきたいです。そして、今回私達にとってはとても悔しく、危機的な状況ではありますが、土佐市は私達が移住してくるくらい素敵な場所だし、人々も本当に暖かいです。私たちを応援してくださるのと同様に、土佐市や高知県を応援してくださればありがたいです」
NPO法人の退去通告やカフェの訴えについて、土佐市の建設課は12日、取材に次のように答えた。
「退去通告が妥当かどうか、市の顧問弁護士に法的な部分を相談して協議しています。新しい入居者は、NPO法人が公募して審査で選んでおり、理事長の知人の会社かは分かりませんが、今後問題がなかったか調査します。カフェのオーナーの方には、地域おこし協力隊として来ていただきました。市としてSNS上の投稿は把握しており、事実でないところもありますが、現段階では1つ1つに答えるのは控えます。協議の結果については、市のサイトで後日にコメントを公表する予定です。カフェとNPO法人も、代理人の弁護士を立ててやり取りしていると聞いています」
セクハラやパワハラは、カフェから市に相談はなく、事実関係を把握していないとしている。
NPO法人にも、11日から取材の電話をかけているが、つながる前に切られたり電話に出なかったりして話を聞けなかった。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)