科学者の見解は
雲南大学の島袋隼士准教授(天文学)は8日、J-CASTニュースの取材に、文集を巡る時事通信の記事について「正直だから何なんだという印象を受けました」と報道価値を疑問視した。
その上、科学に興味を持つ子どもたちへの悪影響を懸念する。記事を読んだ大人が子どもに伝えた場合、「光の速度やブラックホールについて考えるのは変なことなのか、卒業文集にそのようなことを書くのはよくないのか、といった感想を持ちかねません。サイエンスに興味を持ちそうなお子さんの好奇心を潰してしまうのではないか」と弊害を挙げた。
文集報道は一般化しており、真っ先に情報を掴んだメディアは「独自」「スクープ」と華々しく取り上げるケースもある。島袋氏は犯行動機につながる記述などがある場合を除き、卒業文集を取り上げること自体に否定的だ。
『趣味で物理学』などの著書があり、情報サイト「EMANの物理学」を運営する広江克彦氏も取材に「今回の記事を執筆した記者や、今回の記事の公開を事前に止めることが出来なかった報道機関の雰囲気として理系と犯罪を結びつけるかのような偏見があったのではないかと勘ぐってしまいます」と不信感をあらわにする。