「暴露系」とどう向き合うべき?識者の見解は...
ネット上の誹謗中傷問題などに詳しいインテグラル法律事務所の小沢一仁弁護士は4月20日の取材に、暴露系インフルエンサーの活動の法的リスクには大まかに「プライバシー権侵害」「名誉権侵害(名誉棄損)」の2つがあり、名誉権侵害においてはほぼすべての事件で、投稿により摘示された事実の「真偽性」が焦点になるとした。
小沢弁護士は、「インフルエンサーに虚偽の情報を載せられた」「インフルエンサーの配信中、タレコミを行った人物に虚偽情報を広められた」など、虚偽情報を広められた側の相談に応じてきた。そして、「暴露系」の虚偽投稿を拡散するユーザーも法的リスクの他人事ではないとし、次のように警鐘を鳴らす。
「例えば『人違い』かつ『中傷』がともなう投稿などを拡散し、当事者から名誉棄損で訴えられた場合は、慰謝料だけで30万円程度請求される可能性があります。また、情報開示請求や弁護士に対する費用などもかさむ場合もあり、身内に知られたり、解決までの時間的拘束が生じるリスクもあります。場合によっては刑事罰を受けることもあり得ます。暴露系インフルエンサーとして影響力を持っている方は、過去に大きな話題になった暴露を行い、その結果、暴露された人が法的、社会的制裁を受けたという経験を持っている人が多いのではないかと思います。そのため、当該インフルエンサーの信用性は高いと思われる傾向にあると思います」
「しかし、『この人が言っているなら正しいだろう』と安易には飛びつかず、一次ソースをしっかり確認することが重要です。定期的に、『情報を流した人が悪い。自分は信じて拡散しただけだから悪くない』という主張に触れますが、そのような言い分は裁判では通りません」
倫理的リスク、法的リスク、そして炎上リスクをはらんだ暴露系インフルエンサーの活動。ネットユーザーは、彼らとどう向き合っていくべきだろうか。高橋氏、吉野氏にも見解を聞いた。
「暴露系インフルエンサーの中には『みんなが見たがっているから』という理由で迷惑行為などの動画を投稿されている方もいます。ユーザーはそうした狙いに乗りすぎず、『適切な距離感』で情報と向き合っていくことが大切なのではないでしょうか」(高橋氏)
「人間は自分なりのルールの感覚が正しいかどうか常に知ろうとするものですし、また他人の『やらかし』を見るのが好きな生き物なのだと思います。ある意味、炎上に惹きつけられるのは仕方がないところがあるかもしれません。ですが、ネット炎上に加担しないためには、炎上に関する情報を見たとしても、自分は書き込まない、拡散しないというような『自重』が必要かと思います」(吉野氏)
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