内祝い「無い方がいい」6割超...現代人の本音 贈らないと失礼?識者は「気持ちで十分」

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   結婚や出産などで受け取ったお祝い品に対し、お礼を返す「内祝い」についてインターネット上で様々な声が出ている。SNSでは、内祝いの値段、贈るべき時期、品物を選ぶ手間など、様々な悩みが挙げられ「内祝い文化やめたい」などと嘆く声も少なくない。

   J-CASTニュースが読者アンケートを実施したところ、内祝いについて「ない方がいいと思う」と回答した人は約62パーセントだった。

   取材に対し、現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんは2023年4月12日、「本来の意味がきちんと伝わっていないから戸惑っているのではないか」と推察する。

  • 内祝い「無い方がいい」6割超
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「お祝いした方はお返しいらないし、全部ママに使ってもらいたい」

   ブライダル情報サイトや内祝い専用の通販サイトなどによれば、贈られた結婚祝いや出産祝いの2分の1から3分の1ほどの金額の品物を、挙式後や出産後1か月以内に返すのがマナーだとされている。

   昨今はSNSで著名なユーザーらが内祝いについて疑問を呈し、議論が広がっている。

   22年6月には、俳優の赤井英和さんの妻・佳子さんがツイッターで、次のように訴えた。

「子供が産まれた時のお祝いのお返しの内祝をなしにしてほしい。ほとんどの場合、赤ちゃん産んだばっかのお母さんが、色々準備してお返しする。お祝いした方はお返しいらないし、全部ママに使ってもらいたいし、ママや赤ちゃんが元気ならそれでこっちも幸せだからね」

   内祝いをきっかけに関係性がぎくしゃくしてしまうという声もある。23年1月中旬には、「ダ・ヴィンチweb」で連載を持つ漫画家・ゐさんが内祝いを題材にした漫画をツイッターで公開し、大きな話題になった。友人から内祝いが返って来ず、お礼が欲しいわけではないものの、相手との関係性に悩んでしまうという内容だった。

   キーワードごとの検索件数の推移を調べることができるサービス「Googleトレンド」によれば、2004年から23年現在まで検索数は増加傾向にあり、人々の関心も高まっているようだ。

   人々は内祝いについて、どのように考えているのか。J-CASTニュースは読者アンケートを実施した。

本来の意味が伝わっていない?内祝いの由来

   投票は、1月19日に公開した記事「『内祝い』無い方が楽?SNSに本音続々 『見返りが欲しい訳じゃない』の声も【読者アンケート】」の末尾で、投票作成サービス「トイダス」を用いて実施。4日10日までに寄せられた票を集計した。

   そもそも内祝いは一般的な慣習なのか。「『内祝い』について、知っている?」と尋ねると、966票集まった。結果は「知っている」が86パーセント(830票)で、「知らなかった」は14パーセント(136票)にとどまった。つまり、ほとんどの人が内祝いについて知っているという結果になる。

   続いて「『内祝い』について、どう思う?」という問いに対しては950票が集まり、「あったほうがいいと思う」は38パーセント(359票)、「ない方がいいと思う」が62パーセント(591票)と半数以上が否定的だ。

   こうした結果について、マナーに詳しい岩下さんは、本来の意味が伝わっていないから戸惑う人がいるのではないかと推測する。内祝いの由来について、次のように説明する。

「内祝いでは、付き合いのある方々を家に招き、飲食を共にするのが一般的でした。家(うち)にあった祝い事をお披露目する意味合いを持ちます。
お披露目することで、その後も『あのときの』と気にかけ、見守っていただけます。幸せを分かち合うことで良好な人間関係を築き、助けあうことができました」

内祝いは「気持ちがあれば十分」

   アンケートでは内祝いについて半数が否定的な回答をしたものの、内祝いを「贈りたい」とする票も半数を超える。

   「自分がお祝い品を受け取ったとき、『内祝い』を贈りたい?」という質問に対し、「贈りたい」は34パーセント(325票)、「相手によるが、できれば贈りたい」は27パーセント(257票)で、あわせて半数を超えた。一方で、「相手によるが、できれば贈りたくない」は23パーセント(220票)、贈りたくないは17パーセント(161票)だった。

   内祝いを贈るときに気を付けるべきことはあるのか。岩下さんは「気持ちがあれば十分」だと話す。

「本来は今後も付き合いたいという気持ちがあれば十分です。その有り余る気持ちを伝えたいときに手紙や品物を贈るのがいいと思います。お返しの品物の価格は2分の1から3分の1と言われていますが、自分の経済状態に合わせた無理のない金額で構いません」

   受け取りを遠慮する声も半数を超える。「自分がお祝い品を贈ったとき、『内祝い』を受け取りたい?」という質問には、926票が集まった。「受け取りたい」は20パーセント(184票)、「相手によるが、できれば受け取りたい」23パーセント(203票)、「相手によるが、できれば受け取りたくない」は23パーセント(215票)、「受け取りたくない」は最も多い35パーセント(324票)だった。

   岩下さんによれば、受け取りを遠慮することについて、「返礼拝辞」など一言添えておけば問題ないという。反対に、受け取りを遠慮する人にどうしてもお礼の気持ちを伝えたい場合には手紙を送ることを勧める。

「手紙を送るだけでも十分です。お祝いで受け取った品をどのように使っているのか、どれほど喜んでいるのか、ご感想をお伝えするのが良いと思います。受け取ったときにもお礼を伝えていらっしゃると思いますが、その後をお伝えすることで深い感謝の気持ちが伝わるはずです」

「現代の人々は少々頑張りすぎではないでしょうか」

   岩下さんは、本来の内祝いの意味を踏まえ、感謝や喜びを伝えることができれば十分だと訴える。現代の祝儀や内祝いの在り方は若者にとって金銭的にも大きな負担になっているのではないかと心配する。

「現在ご祝儀は3万円ほどと言われていますが、40年ほど前は月収の5パーセントほどと言われていました。現代の人々は少々頑張りすぎではないでしょうか。世間体を気にしすぎないでいいと思います。目上の人から見たら少ない金額であっても、若者の状況は分かるはずです」

   ただ、内祝いをもらえなかったことを気にする人は少なくないようだ。「『内祝い』が返って来なかったとき、どう思う?」という設問には、940票が集まった。半数を超えたのは、「全く気にしない」で56パーセント(530票)。「少し気になる」は34パーセント(320票)、「不快、気になる」は10パーセント(90票)だった。

   ツイッターでは、「内祝いがないって親戚から連絡あって、親にも怒られた」「出産祝いは内祝い返さないと非常識みたいな雰囲気だった」といった悩みも投稿されている。

   こうした声に対し、岩下さんは「相手を責め立てる人こそ、マナーがない人と言えるでしょう」と断じる。

「マナーとは『あなたを大切に思っています』という思いやりの表現の1つです。決まりがあったほうが楽だから『マナー』のルールがあります。例えば、冠婚葬祭で自分がその場にふさわしい服装をしているか気になってしまったら、相手のことまで考えにくくなってしまうかもしれません。マナーに則り自分は大丈夫という安心感を持つことで、心に余裕を持つことで相手のことを気にかけやすくなると思います。
マナーのルールというのは『自分が恥をかかない』ためにあるのではなく、『相手に恥ずかしい思いをさせない』ためにあるのです」
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