「現代の人々は少々頑張りすぎではないでしょうか」
岩下さんは、本来の内祝いの意味を踏まえ、感謝や喜びを伝えることができれば十分だと訴える。現代の祝儀や内祝いの在り方は若者にとって金銭的にも大きな負担になっているのではないかと心配する。
「現在ご祝儀は3万円ほどと言われていますが、40年ほど前は月収の5パーセントほどと言われていました。現代の人々は少々頑張りすぎではないでしょうか。世間体を気にしすぎないでいいと思います。目上の人から見たら少ない金額であっても、若者の状況は分かるはずです」
ただ、内祝いをもらえなかったことを気にする人は少なくないようだ。「『内祝い』が返って来なかったとき、どう思う?」という設問には、940票が集まった。半数を超えたのは、「全く気にしない」で56パーセント(530票)。「少し気になる」は34パーセント(320票)、「不快、気になる」は10パーセント(90票)だった。
ツイッターでは、「内祝いがないって親戚から連絡あって、親にも怒られた」「出産祝いは内祝い返さないと非常識みたいな雰囲気だった」といった悩みも投稿されている。
こうした声に対し、岩下さんは「相手を責め立てる人こそ、マナーがない人と言えるでしょう」と断じる。
「マナーとは『あなたを大切に思っています』という思いやりの表現の1つです。決まりがあったほうが楽だから『マナー』のルールがあります。例えば、冠婚葬祭で自分がその場にふさわしい服装をしているか気になってしまったら、相手のことまで考えにくくなってしまうかもしれません。マナーに則り自分は大丈夫という安心感を持つことで、心に余裕を持つことで相手のことを気にかけやすくなると思います。
マナーのルールというのは『自分が恥をかかない』ためにあるのではなく、『相手に恥ずかしい思いをさせない』ためにあるのです」