2023年4月期ドラマ「それってパクリじゃないですか?」(日本テレビ系)は知的財産権を題材とし、それを盗用する意味の「パクる」という言葉がタイトルに入っている。果たしてこの言葉はいつ頃、どのような形で誕生したのだろうか。J-CASTニュースは識者に見解を聞いた。
もともとは「パクリと食べる」
ドラマは奥乃桜子さんの小説「それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~」(集英社オレンジ文庫)が原作で、俳優の芳根京子さん(26)が主演を務める。主人公で飲料会社の開発部に務める従業員・藤崎亜季が新商品のデザインを盗まれるといった情報流出に遭遇するなどし、これらの出来事を通じて知的財産の世の中での扱われ方を描くドラマだ。
盗用・盗作することや単に物を盗むことはしばしば「あれは○○のパクリだ!」「○○が○○にパクられた!」といった言い方をするが、なぜ「パクる」というのか、いつ発生したのか。編集部は「三省堂国語辞典」の編集委員として知られる国語辞典編纂者の飯間浩明氏に尋ねた。
「もともとは、『パクリと食べる』という意味で、遅くとも明治時代から使われています。そこから、人のものをパクリとくわえる、つまり、『かっぱらう』『万引きする』という意味が生まれました。この意味も明治時代からあります」
「パクる」の誕生自体は意外に古いようだ。しかし、「盗用・盗作する」の意味が一般化したのは比較的最近だと飯間氏は言う。
「『人のアイデアを盗用する』という場合の『パクる』も、かっぱらうことには違いないので、芸能界などで昔から使う人はいたかもしれませんね。ただ、メディアでよく目にするようになったのは20世紀の終わりからです。『三省堂国語辞典』が『盗用する』の意味を載せたのは21世紀になってのことで、2008年の第6版からでした」
編集部が記事データベース「日経テレコン」を使って「パクる」の使用例を検索すると、データベース内での初出は1980年代で、数は2件。1990年代に入ると19件に増え、2000年代は104件に急増していた。2010年以降は450件を超えている。