動機は「つまらない人が売れているのが許せない」
ユーチューブを始めて3か月で50万の広告収益を手にした。仕事の収入を超え、このタイミングで会社を辞めた。
動画投稿者として成功したいとの野望はなかった。突き動かしたのは「つまらない人が売れているのが許せない」と一部のユーチューバーへの憎しみと、借金返済という切迫した事情だ。
視聴者はほとんどが10代で、男性が6割と多かった。ファンとの交流会(オフ会)では不登校やニートの若者が目立ち、「『僕の動画を見るとストレス発散になる』とよく言われました」。
人気のインフルエンサーを標的にするだけにバッシングは避けられなかったが、「お金が入ってくるから何も思わなかった」と意に介さなかった。
収入は右肩上がりで増え、借金はすぐに完済した。ヒカル氏、東海オンエア、カジサック氏など人気ユーチューバーとのコラボも相次ぎ、「とんでもない勢い」で登録者数が増えていった。2018年には50万人を突破する。視聴者から「これを動画にしてほしい」と情報提供は絶えず、ネタにも困らなかった。
この時期に、福岡から上京した。1人では手が回らなくなり、ユーチューバーのマネジメント会社と提携した。
投稿のモチベーションとなっていた「憎しみ」はもうなかった。「コラボをしていくうちに、ユーチューバーも人間なんだなとわかった」ためで、次第に罪悪感を覚えるようになった。ストレスに弱い同業者は少なくなく、「エゴサーチ」をして自らの評判を気にしてしまう人が数多いた。