それでも全国の投票率は「過去最低」...「まだまだ他にやるべきことがある」
今回の統一選では三田市や鎌倉市のほかにも「おしゃれ投票済証」を導入した自治体があった。神戸市は4月9日の市議会・兵庫県会議員選挙で、神戸の街並みが描かれた投票済証を交付し、SNS上で「かっこいい」と話題に。
品川区(東京都)は4月23日の区議会議員選挙で同区の観光大使を務めるサンリオのキャラクター「シナモロール」などを起用した投票済証を交付した。静岡市は4月9日の市長・市議会選挙の投票済証に、ご当地バーチャルYouTuberの「木乃華サクヤ」を起用。静岡市は22年7月参院選の投票済証に、同市出身の漫画家・さくらももこさんの人気作品「ちびまる子ちゃん」のイラストを起用したことでも話題になった。
ユニークな投票済証が話題を呼ぶ一方、振るわなかったのが投票率だ。4月9日の9道府県知事選・41道府県議選、4月23日の市町村議選・町村長選はいずれも投票率が前回を下回り、過去最低を更新した。
NO YOUTH NO JAPANが投票済証のデザインを手がけた3自治体では、三田市(兵庫県議会議員選挙)の投票率は前回(19年)の39.07%から42.4%と約3ポイント上昇。また荒川区議会議員選挙でも前回(44%)から44.57%に微増した。一方で、豊中市の府知事・府議会議員選挙では府知事選(49.56%→47.93%)、府議会選(49.38%→47.53%)ともに、19年の前回から減少している。安野モヨコ氏作品を投票済証に起用した鎌倉市の神奈川県知事選では、前回の39.9%から32.04%と約7ポイント減少した。
NO YOUTH NO JAPANの担当者は、投票済証のデザインに関わった2自治体で投票率が上昇したことについて「投票済証が要因で投票率が上がったのかまでは断定できませんが、投票率が上がっていることは素直に嬉しいです」と喜びを伝える。
一方で、全体の投票率が低下したことについては「投票済証は選挙について知る、関心を持ってもらうためのきっかけづくりの一つであって、投票率を上げるためにはまだまだ他にやるべきことがあるということを示された結果だと思います」と受け止める。その上で次のように話した。
「投票率を上げるためには、まず、投票率が低い理由を人々の政治関心の低さに矮小化しないことが重要だと考えています。若者の投票率が低いのは若者の意識が低いせいだ、で終わらせるのではなく、関心をもてないようにさせている制度や環境がなんなのか、どういう施策が必要なのか、行政も企業もメディアも社会全体で取り組んでいくことが必要です」