自民党が衆参5補欠選挙(2023年4月23日投開票)を「4勝1敗」で乗り切ったことで、岸田文雄内閣の支持率が上昇傾向だ。このことで解散風が強まり、5月19日から21日にかけて広島で開かれる主要7か国首脳会議(G7サミット)後に解散総選挙に踏み切る、との見方も出てきた。
支持率が上がったのは、統一地方選で議席を大幅に伸ばした日本維新の会も同様だ。4月の終わりに共同通信、日経新聞・テレビ東京、JNN(TBS系)がそれぞれ行った世論調査では、政党支持率は維新と立憲が逆転した。現時点で衆院の議席数は立憲97、維新41と大きな差があるが、野党第1党の座をめぐる争いも焦点になりそうだ。
「今や、支持率は時に維新の方が上回るという中にありながら...」
共同通信が4月28日から30日にかけて行った調査では、政党支持率は立憲7.6%に対して維新12.2%だった。3月11から13日にかけて行った前回調査では立憲9.6%、維新7.2%で、維新と立憲が逆転したことになる。それ以外の2調査でも同様の傾向だ。もっとも、維新の支持率が立憲を上回るのは初めてではなく、共同通信の2月11~13日の調査では立憲8.5%、維新8.7%だった。
この点は立憲も認識しており、泉健太代表は4月28日の記者会見で
「今や、支持率は時に維新の方が上回るという中にありながら、自治体議員の数ということでは立憲が大きく上回ることができたので、そういったこと一つ一つを誇りに思いながら自信を持って立憲民主党の政策を広げていきたい」
と述べている。
ただ、4月末の日経・テレ東の調査では、立憲と維新のどちらに期待するかについても質問。立憲27%、維新51%と大差がついた。
維新の23年の活動方針で、「中期目標」として次期衆院選で野党第1党を獲得することを掲げており、馬場伸幸代表は4月27日の記者会見で、
「次の大きな目標、衆院選で野党第1党の議席をお預かりするということは、ここからかなり登山道も急角度になってくると思うので、相当気合を入れてやらないといけない」
と述べた。
早期解散は「自民・公明の『維新潰し』」
ただ、維新は早期解散をけん制してもいる。統一地方選の結果を受けて4月24日午後に開いた記者会見では、藤田文武幹事長が次期衆院選で「全ての選挙区を対象として擁立作業をする」と発言。その上で、次のように話した。
「我々としては、少し解散までに時間があった方が、候補者をたくさん立てられるというのは誰が考えても明らか。もし早く解散を打ってこられるのであれば、私は自民党・公明党さんの『維新潰し』だというふうに捉えさせてもらおうと思っている」
これまで維新は、大阪市議会で過半数を持っておらず、公明党と連携していた。その一環として公明が候補を擁立する大阪、兵庫の計6小選挙区で候補の擁立を見送り「すみ分け」てきたが、4月9日に投開票された大阪府議選、大阪市議選の両方で維新が過半数を獲得。これまでのような配慮の必要もなくなり、藤田氏は6選挙区についても「代表の意見も聞かないといけない」と断った上で「勝てる可能性のあるところ、(立候補の)手が上がるところには全て立てる」と述べている。
21年の衆院選で、小選挙区から当選した公明党議員は9人。そのうち6人が維新と競合しかねないのは痛手だ。公明としては、これまで通りのすみ分けの余地を探るために、早期解散に慎重姿勢をとるとみられる。つまり、維新-公明の関係が解散時期に影響する可能性もある。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)