「浮上の兆しが見えない」 開幕ダッシュ失敗の原巨人、元コーチが指摘する「マイナス要素」

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   プロ野球の巨人が2012年以来11年ぶりに借金を抱えて4月を終えた。開幕から11勝14敗の借金「3」でリーグ5位に低迷している。開幕ダッシュに失敗した12年は5月以降チームを立て直し、リーグ優勝を果たして日本シリーズを制した。今季スタートで躓いた原巨人。果たして11年前の再現はなるのか。

   J-CASTニュース編集部は12年当時、巨人の戦略コーチを務めチームを日本一に導いた橋上秀樹氏(57)に分析してもらった。

  • 巨人・原監督(編集部撮影)
    巨人・原監督(編集部撮影)
  • 巨人・原監督(編集部撮影)

「当時は戦力的に他の球団と比べても抜けていた」

   12年は3月30日に東京ドームでヤクルトと開幕戦を行い黒星発進。第2戦も落として2連敗した。4月1日の第3戦でシーズン初白星をマークするもその後5連敗。4月18日から2度目の5連敗を喫するなど低迷し借金を抱えて4月を終えた。

   5月に入ると打線が機能し始めセ・パ交流戦で優勝。夏場に首位に立つとそのままの勢いでリーグ優勝を果たした。日本シリーズは日本ハムを4勝2敗で下し3年ぶり22度目の日本一となった。

   橋上氏は「ヤクルトとの開幕戦で打撃陣の調子を狂わされ、それが4月下旬まで尾を引いてしまった」と当時を振り返り、次のように続けた。

「当時は戦力的に他の球団と比べても抜けていた。野手でいえば阿部(慎之助)選手を筆頭に坂本(勇人)選手、長野(久義)選手、高橋(由伸)選手がいた。攻撃力、守備力、年齢的にも非常にバランスの良いチームでした。働き盛りの選手が多く、状態さえ戻ってくれればという目で見ていた。同じ4月の借金でも今季と状況はだいぶ違う。戦力自体が全く異なるので12年の時と同じようなものを望むのは少し厳しいと思います」

11年前と今季の決定的な違いは「投手力」にあると指摘した。

「平均年齢が高いということもマイナス要素」

「当時はピッチャーが非常に安定していたので、それほど多くは負けないと感じていました。先発陣は、内海(哲也)投手、澤村(拓一)投手、杉内(俊哉)投手、ホールトン投手。そして山口(鉄也)投手、マシソン投手、西村(健太朗)投手の勝ちパターン3枚が非常に安定していた。終盤に逆転されるようなことはほとんどなかったし、1点でもリードして6回を迎えればほぼほぼ勝ちにもっていけた」

   そして「11年前とは投手力が明らかに違う。今季投手力が良ければこの先もう少し順位が上がっていく可能性も見える。ただ昨シーズンも良くなく、今シーズンに上積みが見られない。昨シーズンと同じ投手力ということを前提に考えると浮上の兆しが見えない。次世代の育成というところがうまく機能していないと言わざるを得ないです」と分析した。

   5月1日時点でチーム打率(.238)は中日と並びリーグ4位タイで、チーム防御率(3.90)はリーグワースト。101失点もリーグワーストでリーグ唯一の3桁だ。

   橋上氏は「12年の4月は明らかに打撃陣の調子が上がってこないがために歯車が少し狂って勝てなかった。今シーズンを見ると歯車が狂っているというよりは選手の実力がないように思えます。平均年齢が高いということもマイナス要素で、今後チームが爆発的に上がっていくというのは厳しいと感じます」と解説した。

   5月2日からホーム東京ドームでヤクルトと3連戦、5日からは敵地バンテリンドームで中日と3連戦を予定している。

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