大手牛丼チェーン「吉野家」の東京・新宿の店舗に、「人員不足の為休業します」と伝える貼り紙が出ていたとツイッターの投稿が相次ぎ、驚く声が上がっている。
客の多い都心の店舗だったため、飲食業の人手不足を再認識した人も多かった。アルバイトの採用難などの背景について、吉野家を取材した。
十数店舗が何らかの理由で休業
貼り紙が出ていたとされたのは、吉野家の西新宿8丁目店だ。東京メトロ丸の内線・西新宿駅前にあり、警視庁の新宿署や東京医科大学病院にも近い。
ツイッター上の写真投稿によると、この店が2023年4月19日15時から5月1日10時まで人員不足のため休業するとして、近隣の吉野家を利用するよう呼びかけていた。貼り紙の写真はいくつか投稿され、まとめサイトも取り上げるなど関心を集めている。公式サイトの店舗情報でも、この期間の「一時休業のおしらせ」が出ていた。
27日のツイッター投稿では、アルバイトを時給1200~1500円で募集している店の貼り紙も紹介された。
店は、5月1日から営業を再開している。店舗情報では、ゴールデンウィーク期間中の6日までは、短縮営業を続けて17時の閉店になっている。
吉野家の広報担当者は5月1日、J-CASTニュースの取材に対し、西新宿8丁目店がこの期間に人手不足で休業したことを認めた。新宿地区では、JR中央線・大久保駅に近い北新宿百人町店が、同じ期間に同様な理由で休業したことも明らかにした。
吉野家は、23年3月末時点で全国に1196店あり、広報担当者は、5月1日現在で十数店舗が何らかの理由で休業しているとした。
GW前後は、長期の休暇取得やシフト変更の依頼が多く
休業の理由としては、店舗改装などのほか、他店に応援を求めたりするシフト調整がうまくいかずに人手不足で休業するケースがあるとしている。基本的にどこの店もアルバイトの絶対数が足りていない状態だといい、次のように状況を説明した。
「春はパートアルバイトの入れ替わりの時期であり、この時期は毎年人手が充足しているとは言えない状態となります。加えて、GW前後はパートアルバイトから長期の休暇取得やシフト変更の依頼が多く、一部店舗を休業した次第です。採用に関しては上記の通り、春は入れ替わりの時期であり、毎年年明けからパートアルバイトの採用に力を入れて活動しております」
吉野家では、4月17日から新メニュー「焦がしねぎ焼き鳥丼」を発売した。同じ鶏肉メニューでは、2018年4月に発売された鶏すき丼は、調理などに手間がかかるため、翌19年2月までに販売休止すると当時報じられていた。店の人員不足に鳥丼導入の影響もあるのかについては、「休業と特定商品との関係性はございません。『焦がしねぎ焼き鳥丼』は予定通り7月中旬まで販売予定です」と否定した。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)