36歳でオタクに→45歳で初の単行本 目標は「50歳で連載漫画のアニメ化」...壮年のマンガ家が突き進む夢

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心身を壊し療養中に「趣味」ができる

   34歳を迎え、ついに心身を壊して退職。療養期間は、当時4歳だった息子と過ごす時間が増えた。サブスク配信が盛んではない時代だったため、頻繁にレンタルビデオショップに足を運んでは、店に並ぶ児童向けアニメを借り、息子と一緒に視聴した。

「アニメのエンドロールに流れるたくさんの名前を見て憧れを持ちました。
音響、美術、監督... それぞれが専門性をもって一つの作品を作り上げている。
私もプロフェッショナルとして仕事をしてみたい!」

   未視聴の作品が減り、何を借りるか悩むようになったある日、大々的にプロモーションされていた深夜アニメに目が留まった。

「大人向けのアニメか...」

   人並みに幼いころからマンガやアニメを楽しんできたモトカズさんだったが、大人がアニメを楽しむことは「オタクっぽいな」と敬遠していた。しかし「きっとこの作品も様々なプロフェッショナルが集って作り上げられたんだろうな」と興味を持ち、息子ではなく自分のために手に取った。

「そこからは新旧様々な大人向けアニメを楽しむようになり、そのころ始めたツイッターでアニメの話題に触れることが日々の楽しみになりました。『趣味ができた!』そんな嬉しい気持ちを今でも覚えています」

   36歳のある日、妻に「オタクになったみたい」と打ち明けた。妻はモトカズさんに趣味ができたことをとても喜び、受け入れた。人生で初めて趣味が充実し、心身も回復したモトカズさんは無事に再就職を果たした。プライベートでは、ツイッターでファンアートを描く人との交流が増えていった。

   絵を描くという専門性に憧れを持ったモトカズさんは、自身も道具をそろえイラストを描くようになった。モトカズさんは当時を「絵心はありません。ただ、大好きな作品の絵をたくさん描いて同好の士と楽しむ日々はとても刺激的でした」と振り返る。息子も7歳に成長し、一緒に絵を描くことを楽しんだ。

   やがて「同人誌」の存在を知り、同人作家として活動し始めることになる。

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