「サイゼリアじゃない」摘発続けて3年5か月 「サイゼリヤ警察」終了発表にネット衝撃...本人に聞いた決断の背景

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   イタリア料理チェーン「サイゼリヤ」の誤った呼び方にダメ出しをしてきたツイッターアカウント「サイゼリヤ警察」が、突然活動辞退を表明し、トレンド入りするほど注目を浴びている。

   「サイゼリアじゃない」と3年5か月にわたって指摘を続け、ネット上で親しまれてきた。一体どんな事情があったのだろうか。「中の人」に聞いた。

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  • サイゼリヤ警察のツイッター
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サイゼリヤ創業者がどっちでもいいと発言した?

   「サイゼリアではなくサイゼリヤです」「発見次第、摘発します」。サイゼリヤ警察は、プロフィールでこううたい、ツイッター上で「サイゼリア」の投稿を見つけるたび、「いいね」を押すなどして注意喚起してきた。「株式会社サイゼリヤとは一切関係ありません」とは断っている。

   2023年4月に入っても、「5分ほどのパトロールで130件摘発しました」などと次々に報告し、著名人でも容赦しなかった。

   アイドルやプロスポーツ選手を名指しで摘発し、16日には、声優の小松奈生子さんが「サイゼリアのミラノ風ドリア」と表現したことに突っ込んだ。小松さんは、「#サイゼリヤ #ごめんなさい」と謝罪し、サイゼリヤ警察も「サイゼリア警察」と表現した過去の前科を認めて、リプライで交流した。

   ところが、26日未明になって、「今日でサイゼリヤ警察を辞めます」とツイッターで宣言した。「約3年5ヶ月もの間、さまざま沢山の方にお世話になりました。さようなら」と別れを告げたのだ。

   この活動辞退表明には、伏線があった。

   前日の25日に、サイゼリヤ警察が「ねぇ、なんでサイゼリヤのことをサイゼリアっていうの?」と投稿すると、リプライで、サイゼリヤ創業者の同社会長がテレビ番組でサイゼリアでもどっちでもいいと発言していたと指摘を受けた。

   テレビ東京系の情報番組「カンブリア宮殿」での発言だといい、放送内容ははっきりしないものの、09年9月14日の放送には会長が出演している。当時の一般ユーザーのブログでも、同様の発言があったとの書き込みが見られる。

   すると、サイゼリヤ警察は「そうなの?!」と驚き、26日になって、会長の発言を知って「この活動の目的を失いました」と告白し、今回の活動辞退表明になった。

続いた理由は、「活動に対して反響を頂けたことです」

   活動辞退を伝えたツイートは、4月27日11時現在、4万6000件を超えるリツイート、20万6000件超のいいねが寄せられている。

   活動辞退表明について、「正直どうでもいい」と冷ややかな目もあるが、ツイッター上などでは残念がる声も上がっている。「何回かサイゼリヤ警察に踏み込まれたな。懐かしい」「あの時は過ちに気づかせてくれてありがとう」といったエールが続々と寄せられた。

   別の表現への警察に転職するよう勧める声も相次いでいる。シャープの公式ツイッターは、「転職はキヤノン警察をおすすめします」と投稿して話題になった。キャノンなどと誤る人が多いためらしい。また、任天堂のゲームシリーズ「ファイアーエムブレム」のキャラクターデザインを手がける漫画家のコザキユースケさんは、「ファイアーエムブレム警察への再就職という道は如何でしょうか。今度はヤではなくアに正す仕事内容になりますが」とツイッターで提案していた。

   サイゼリヤ警察は26日、ツイッターのダイレクトメッセージ(DM)を通じてJ-CASTニュースの取材に応じ、活動辞退表明に至った事情を詳しく説明した。

   きっかけが14年前のカンブリア宮殿放送での会長発言を知ったことなのか問うと、「仰る通りです」と答え、リプライで指摘されて放送内容に触れたブログを見て初めて気づき、活動の目的を失ったと改めて説明した。

   ツイッターでは4月3日、「転職しまして今日から新しい職場」と明かしており、そのことも理由か聞くと、「新入社員になりますので忙しさはありますが、転職が理由でサイゼリヤ警察を辞めようと思ったことはありません」と答えた。会長発言を知った以外の理由はなく、ゆったりとした活動を楽しんでおり、引退することは考えていなかったとした。

   26日の投稿では、大学4年間サイゼリヤでアルバイトしたという交際女性から、サイゼリアと表現する人とは別れると言われ、そんな目に遭わないように活動を始めたと振り返っている。取材でも、「彼女に振られたことが原因で活動を思い立ちました」と明かし、3年5か月も続いた理由について、「活動に対して反響を頂けたことです」と説明した。

サイゼリヤ社「SNSでの発信に対して介入は行っていない」

   新型コロナウイルス感染でホテル療養中に、フォロワーから励ましのメッセージをもらったり、体調不良などで1か月ほど何もツイートしなかったときでも、久しぶりの投稿に反響があったりしたそうだ。

   フォロワーらと共闘した思い出もある。ある予測変換アプリでは、「サイゼ」と入れると第1候補に「サイゼリア」、第2候補が「サイゼリヤ」だったため、第1候補を信用してツイートした結果として摘発されるケースがあった。このアプリには、2年ぐらいかけて有志数人が問い合わせ窓口に改善要望を出した結果、 22年11月ごろに、アプリの更新で第1候補が「サイゼリヤ」となる仕様になり、盛大にそのことをツイートして喜びを分かち合った。

   とはいえ、いいことばかりではなく、活動に批判を受けることもあった。始めて1か月ほど後、「人権侵害に当たる活動は止めろ」といった内容のリプライが来たことがあった。この経験を踏まえ、DMを通じて様々な人の意見を聞きながら活動するようになったとしている。

   サイゼリヤ社との関係については、「まったく交流したことは一度もありません」とし、「株式会社サイゼリヤ様からは何も言われておりませんで、大変不安を感じて活動しております」と複雑な想いも吐露した。

   今後について、様々な代案がネット上で提案されているが、「サイゼリヤ警察に代わる活動は今のところ何も考えていません」と答えた。ツイッターは閉鎖するのかについては、「非常に悩ましい質問です」とするにとどめた。

「世間では引退したと言われているのですが、心のどこかでは殉職と思っています。殉職した刑事って、ドラマとかだと実は生きていて、第2章が幕開けしたりするじゃないですか。今、心の中では男として一度辞めると言ったんだからこのまま何も言わず放置VSこれからもゆるっと活動したらいいじゃんが戦っています」

   サイゼリヤ警察の活動辞退などについて、サイゼリヤ社の広報担当者は4月27日、取材に対し、「SNSでの発信に対して介入は行っておらず、弊社よりコメントは控えさせていただきます」とメールで回答した。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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