男性から女性へ性別変更したトランスジェンダーの競泳選手リア・トーマス(米国)さんを巡り、目標をすべて達成したため再び性転換を検討しているとの情報が広まっている。
しかし、報道したメディアは「裏取り」ができないとして謝罪し、検証記事を出している。
「本当ならもはやギャグだ」
トーマス選手は22年3月、競泳の全米大学体育協会選手権500ヤード(約457メートル)自由形で、トランスジェンダーとして初制覇した。
その後賛否を巻き起こし、日本の大手メディアでも多数取り上げられた。米ニューヨーク・タイムズの23年4月6日の報道によれば、米バイデン政権はトランスジェンダー選手のルール整備を進める意向だ。
日本で4月25日ごろから、トーマス選手が男性に戻ることを望んでいるとするツイートが約5000リツイート(拡散)されている。情報源はまとめサイトだった。
添付されたまとめ記事のタイトルは「【悲報】元男性の女子水泳選手さん、大会で優勝したので男性に戻りたい宣言を繰り出してしまうwwww」。記事では、トーマス選手が「すべての目標を達成した」として性転換を再びする予定だと伝えている。
トーマス選手を批判する日本語のコメントとともに紹介しており、「本当ならもはやギャグだ」とサイト運営者のものとみられる見解も添えてあった。
記事末尾には、インドのニュースサイト「Sportskeeda」の記事リンクが掲載されているが、26日午前に確認すると「ファクトチェック:リア・トーマスは男性に戻りたがっているのか?バイラル記事の誤りを検証する」と矛盾するような題字になっている。
「刺激的なストーリーをウェブ上で共有する」
記事によれば、「Worthy to share」というサイトがトーマス選手の願望を伝えていたという。J-CASTニュースが確認すると、ニュースサイトのような作りだが運営元は不明で連絡先もフリーメールとなっている。「刺激的なストーリーをウェブ上で共有する目的で作成されたウェブサイトです」(原文は英字)と説明している。
「ALLOD Sports」の特派員のインタビューに、トーマス選手が打ち明けたと伝えているが、Sportskeedaは「現時点で他の著名なソースが報じていないため、インタビューとされる内容の真偽は確認できず、記事は『フェイク』とみられる」と判断した。ALLOD Sportsの存在さえも確認できなかったという。
Sportskeedaのこの記事のアーカイブを確認すると、前日の見出しは「"目標を達成した "リア・トーマス、『罪悪感』を感じて男性への復帰を希望」だった。
事実上の訂正記事で、「読者の皆様には、意図せずやってしまった誤りをお詫びします」と謝罪している。