稲作の肥料などにするためレンゲを育てている農地に、バスで乗り付け、園児らを遊ばせる行為があったとして、神奈川県などの農園がツイッターで注意を呼びかけている。
農地と知らずに遊ばせた可能性などもあるが、肥料が足りなくなってしまうという。各農園では、許可なく立ち入らないよう訴えている。
人を刺すマダニや毒蛇のヤマカガシもいると「警告」
「イチゴを育てている農家の先輩が、『契約してやっているの?』と連絡してきたんです。この先輩は、イチゴを受粉させるミツバチを離しており、レンゲ畑にミツバチの様子を見に来たとき、バスが来て園児らを遊ばせていたということでした」
神奈川県座間市内で米や野菜を育てている「座間ゆたか農園」の代表は2023年4月25日、J-CASTニュースの取材にこう状況を明かした。
農園では22日、「レンゲ畑へどこかの幼稚園・保育園のバスが乗り付け勝手に園児を遊ばせていたと通報を受けました」と公式ツイッターに投稿した。そのうえで、レンゲ畑は私有地であり許可なく立ち入れば罰せられるほか、人を咬むマダニや毒蛇のヤマカガシもいると「警告」している。
農園の代表は、バスが来たのは、19日か20日だったといい、引率者も含め10人以上が30分ほど2ヘクタールの畑に入っていたと聞いたとした。畑には、レンゲを踏んだり地面に座ったりした跡があったという。
「お花が咲いているから、少しぐらいならいいだろうと思ったのかもしれませんが、レンゲは種を買ってお米の肥料として育てています。申し訳ないと謝罪してほしいですが、今のところ連絡は来ていませんね」
現場を目撃すれば110番通報したが、今回は警察に連絡していないという。
レンゲ畑に立ち入る人は、毎年のようにおり、4月に入って、農地に入ってレンゲの写真を撮ったり、地域のお祭りに車で来て駐車したりするケースもあったそうだ。バスで乗り付けたのは、初めて聞いたとしている。
「改善が見られないときは、咲く前に刈り取るしかない」
座間ゆたか農園では、レンゲ畑に立ち入らせない対策にも、苦慮している様子だ。農園の代表は、「ロープを張ったり、看板を立てたりすれば、作業の邪魔になりますし、何か所も必要になって大変です。改善が見られないときは、来年からは、レンゲが咲く前に、刈り取るしかないですね」と話した。
最初の投稿は、5000件以上リツイートされており、大きな関心を集めている。
愛知県内のある農園も4月24日、この投稿を受けて、保育園か幼稚園のバスがレンゲ畑に乗り付け、園児を遊ばせていたと知人から連絡を受けたと明かした。その結果、レンゲの咲き具合が悪くなっているといい、コメの肥料が足りなくなる恐れがあると懸念していた。事前に連絡があれば、花摘みも可能だったというが、来年からは勝手に立ち入らないよう看板を立てる考えも明らかにした。
一方、一部のレンゲ畑を市民に開放している自治体もある。
大阪府寝屋川市は、農家から協力があった市内の一部農地を無料開放しており、「花咲くきれいな農空間」と題した看板を立てている。
「農家支援のため、種を配布して面積に応じた補助金を出しています。一般市民にも楽しんでもらうのも目的で、マナーを守って花を楽しむ空間として親しんでもらっています。レンゲを摘むこともできますが、荒らされたという話は聞いていません」(市産業振興室)
(J-CASTニュース編集部 野口博之)