2023年4月23日に投開票された衆参5補欠選挙では、自民党は「4勝1敗」。敗れた和歌山1区では日本維新の会の勢いを止められず、山口4区以外は薄氷の勝利となった。特に千葉5区は5野党の候補者が乱立し、自民党に有利な展開だと見る向きもあったが、実際は僅差での勝利だった。
一応は4勝したことで解散総選挙が近くなったとの見方もある。無党派層は自民党に厳しい目を向けるが、日本維新の会は次期衆院選で「全ての選挙区を対象として擁立作業をする」ことを表明し、他党との協力を否定。小選挙区で与野党の「1対1」の構図に持ち込む事は困難だとみられ、公認候補の「3敗」を喫した立憲にとっても、引き続き厳しい情勢が続きそうだ。
「一本化できていれば、かなり余裕を持って勝てた選挙だと思う」
千葉5区の補選は「政治とカネ」の問題で自民党衆院議員だった薗浦健太郎氏(50)が辞職したことがきっかけで行われた。そのため、逆風が前提の選挙戦だったが、野党候補が乱立し、批判票が分散。自民新顔の英利アルフィヤ氏(34)=公明推薦=が立憲新顔の矢崎堅太郎氏(55)に競り勝った。NHKが20時過ぎに放送した出口調査の結果によると、自民党支持者で英利氏に投票したのは60%で、30%が野党候補に投票。矢崎氏は立憲支持層の80%程度を固めた。無党派層では、30%台後半が矢崎氏に投票したのに対して、英利氏の得票は10%台なかばにとどまった。その結果、得票は英利氏5万578票に対して矢崎氏4万5635.399票。19年の薗浦氏11万1985.611票、矢崎氏6万9887.387票と比べると、自民が大幅に票を減らしていることが分かる。
立憲の岡田克也幹事長は千葉5区と参院大分で接戦が伝えられていた23時過ぎ、NHKの番組で、千葉5区について
「一本化できていれば、かなり余裕を持って勝てた選挙だと思う。自民党に対する批判はかなりあり、例えば無党派層はほとんど自民党の候補には入れてないというふうに思う。野党がまとまっていれば、確実に勝てた選挙」
などと話し、批判票が分散したことを残念がった。解散総選挙については
「我々はいつあってもいいように準備しておく、いうことだと思う。早ければ、この国会の最中も、あるかもしれない。常在戦場で臨みたい」
として、通常国会会期末の6月21日までに解散の可能性がありうるとの見方を示した。
ただ、岡田氏が悔やんだ補選の状況は、次期衆院選で繰り返される可能性もある。岡田氏は次のように話し、引き続き候補者調整は困難な状況が続くとみている。
「国会の中では従来と同じように野党間、なるべく協力できるものは協力していきたいと思うが、選挙になるとまた話は違う。今回の補選を見てもなかなか容易なことではないと思っている」
「1+1+1が3になるとは限らない。1+1-2になれば0になる」
日本維新の会は、岡田氏の「一本化できていれば、かなり余裕を持って勝てた」との見方には否定的だ。4月24日午後に開いた記者会見では、藤田文武幹事長が次期衆院選で「全ての選挙区を対象として擁立作業をする」と発言。馬場伸幸代表は千葉5区について
「1+1+1が3になるとは限らない。1+1-2になれば0になる。そういう意味で、有権者の皆様方は、考え方が違う、政策が違う、そういう政党が選挙のときだけ組んで、そして何か『結果が出た!万歳万歳!』ということを言っても、それは野合、談合、もたれ合いでしょ、と感じていると思う」
などとして一本化の効果には否定的な見方を示した。仮に野党統一候補を立てて当選しても、すぐにどの会派に所属させるなどについて争いが起きるとして、
「我々が他党の議席を増やすために協力をして、違う選挙区で協力をしてもらう、というようなことをしても、虚像である自民党を倒すことは絶対にできない」
とも指摘。次のように話し、他党との選挙協力を明確に否定した。
「目の前のそういった議席を取るという考え方ではなしに、我々は政権政党を目指しているわけだから、他党との協力はやらないという考え方で、特に次の総選挙は戦っていく。それが大方針としてやっていきたい」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)