選挙カーから「音出しません!」 静かさアピール奏功?当選者多数「選挙は大きく様変わりするかも」

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   2023年の統一地方選で、選挙カーの「音出し」を止める候補者が複数現れた。

   有権者からの批判が根強かったものの、半ば強制的に候補者名を伝えることができるため、集票効果は高いとされてきた。なぜ「静かな選挙」に踏み切れたのか。

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自己矛盾感じた候補者

   4月23日投開票の東京都豊島区議選で、立憲民主党の新人・宮崎慧子氏(33)が当選を果たした。

   宮崎氏は、選挙カーからの「音無し」を掲げて7日間を戦い抜いた。理由を「自分が子育て最中に辛い思いをした経験があるから」とSNSで説明し、「子育て政策、安心のある暮らしを謳っているにも関わらず自分が選挙に出るときは音を出す、というのはなんだか矛盾していると思いました」と書き込んでいる。

   他の候補者は音を出しており焦りもあったという。周囲からも「ウグイス嬢は最低2名雇った方がいい」「新人はアピールしないと負けるよ」とアドバイスがあったが、「いつか街宣車の文化がなくなり、政策、今までの実績、各候補の討論での勝負で候補者選びができれば、もっといろんな人が立候補しやすくなりますし社会も少しづつでも変わるのではないかと信じています」と一石を投じた。

   東京都中央区議選から出馬した穗積勇起氏(41、無所属新人)も、音出しはもちろん、選挙カー自体を使わなかった。

区民への信頼から

   「『名前をよく聞く人に投票する』『なんとなく耳障りの良いことを言ってる人に投票する』などという投票行動をする割合は決して多くなく、しっかり自分の頭で考えて投票先を考える人の方が多いだろう」と中央区民を信頼し、ビラ配りなど丁寧なコミュニケーションを重視した結果だという。

   「このスタイルで万一にもたくさん票がいただけるようであれば、中央区、さらには都市部での選挙は大きく様変わりするかもしれません。選挙カーも演説もたいして効果がないということが証明できるためです」と青写真を描き、「候補者の主張を延々と押し付けられるうるさい選挙と、静かで候補者にも話しかけやすい選挙。あなたはどのような未来が望ましいとお考えでしょうか。そんなことも投票先の選択の考慮に入れていただければ幸いです」と音の有無を選挙戦の争点とした。

   穗積氏は1643票集め、12番目(定数30)に当選した。

   そのほか、東京都台東区の高橋えりか氏(34歳新人、あたらしい党)や、神奈川県藤沢市の重黒木優平氏(36歳新人、政治家女子48党)、神奈川県相模原市南区の阿部善博氏(52歳現職、自由民主党)も同様の試みをした。

   札幌市東区の渕上綾子氏(48、立憲現職)は、音を出さない時間帯「マナーモード」を設けた。結果は、重黒木氏を除き当選した。

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