大混雑の過去も...今や「後発施設と勘違い」 来場者数ピークの1/4、かつての人気水族館が下す決断

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   半数以上の人が場所を知らないか、近隣の水族館と勘違いをしている――。東京都品川区にある「しながわ水族館」について、同区が実施した認知度調査の結果がツイッター上で話題を呼んだ。

   実はしながわ水族館は開館当初、「イルカショー」を目玉に年間利用者数160万人を超える人気施設だった。しかしその後、首都圏に競合水族館が相次いでできると、利用者数は4分の1以下まで減少。施設の老朽化も課題となる中、区はある決断を下すことになる。

  • 認知度話題の「しながわ水族館」が下す決断(写真:アフロ)
    認知度話題の「しながわ水族館」が下す決断(写真:アフロ)
  • しながわ水族館とよく間違えられる「マクセル・アクアパーク品川」(公式サイトより)
    しながわ水族館とよく間違えられる「マクセル・アクアパーク品川」(公式サイトより)
  • 認知度話題の「しながわ水族館」が下す決断(写真:アフロ)
  • しながわ水族館とよく間違えられる「マクセル・アクアパーク品川」(公式サイトより)

「かわいそ過ぎる」「私も勘違いしてたや」

   「かわいそ過ぎる」「切ない」――。2023年4月中旬、ツイッター上でこんな反応が寄せられたのは、品川区南部にあるしながわ水族館のリニューアル計画に際して、区が22年5月に公表した資料だ。水族館の商圏を対象にしたアンケート調査で施設の認知度を聞いたところ、全体の2割が「知らない」と回答。さらに37.2%が最寄り駅を「品川駅」と答えた。

   しながわ水族館の最寄り駅は品川駅(港区)ではなく、京急本線の大森海岸駅(品川区)や京浜東北線の大森駅(大田区)、また大井町駅(品川区)だ。一方で品川駅前には、しながわ水族館と同じ「イルカショー」を実施している水族館「マクセル・アクアパーク品川」が立地している。区は調査で「品川駅」と回答した人は「マクセル・アクアパーク品川と勘違いしていると推察される」と分析した。

   この調査結果がツイッターで話題になったことで「え...別...?」「私も勘違いしてたや」などと、はじめて自分が混同していたことに気付く人もいたようだ。しながわ水族館の公式ツイッターは19日に「しながわ水族館へのアクセスですが、最寄駅は『大森海岸駅』です!お間違いのないよう...よろしくお願いいたします」と投稿している。

   この調査結果について品川区防災まちづくり部公園課の担当者は19日、J-CASTニュースの取材に「30年以上の歴史の中でまだまだ認知度が至っていない」としつつ、「今回のリニューアルで素晴らしい施設にしたい」と話す。一方で、「のんびり見られてとてもいい水族館」「丁寧な展示でとても好き」など、水族館の魅力を伝えた投稿も寄せられたことには「うれしかった」と語った。

決断した「イルカショー」の終了

   しながわ水族館は1991年に開館。首都圏ではじめて「イルカショー」を楽しめる水族館として注目を集め、92年には池袋の「サンシャイン水族館」(豊島区)を上回る年間来場者数160万人を集めた。当時の賑わいについて、前述の担当者は「(先輩方からは)周辺の公園も含めて大混雑していたと聞いています」と話す。

   しかし、93年には八景島シーパラダイス(横浜市金沢区)、05年にはエプソン品川アクアスタジアム(現:マクセル・アクアパーク品川)と、いずれもイルカショーを売りにした水族館が首都圏に誕生する。他にも集客力のある水族館が相次いで開業し、しながわ水族館の利用者は年々減少。19年に年間40万人を割り込んだ。20年度に行われた前述の調査では、「品川」の名を冠する後発施設と混同されている実態が浮き彫りになった。

   利用者数の減少、さらに建物の老朽化もあり、区は27年度に施設をリニューアルすると発表。そこで出した結論は、リニューアルを機に「イルカショー」を終了することだった。

   なぜ、看板を下ろすことにしたのか。担当者は「都内唯一のイルカショー実施水族館という独自性が失われたこと」「イルカ飼育の費用負担の大きさ」、さらに海外でイルカ飼育への風当たりが強まっていることなどを踏まえた決定だと説明する。

   区は水族館が立地するしながわ区民公園の自然環境や景観と調和した新施設の計画を検討。リニューアルの事業者・設計者は今年度中に決定予定だ。また現行の施設では5月7日まで、「昭和・平成レトロ」をテーマにかつて流行した生き物などを展示する「エモいぞ!! レトロ展」を実施する。

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