2022年10月の水際対策緩和で国外からの個人旅行が解禁され、日本を訪れる観光客の回復が本格化してきた。
日本政府観光局(JNTO)が23年4月19日に発表した23年3月の訪日外国人客数(推計値)は181万7500人で、22年10月以降最多を記録した。「コロナ前」の19年3月の65.8%の水準だ。国・地域別に見ると、欧米からの需要が大きく回復。特に米国は、3年前よりも15%多い20万3000人を記録した。一方で、3年前は最も多くの観光客が来ていた中国からは「9割減」に近い状況が続く。中国はすでに60か国への団体旅行を解禁しているが、その中に日本が含まれていないのが主な原因だ。日本への団体旅行が解禁されれば「200万人超え」する可能性が高く、各地の観光地の混雑に拍車がかかりそうだ。
韓国は「コロナ前」8割、台湾は7割まで回復
国・地域別の訪日客数は、韓国が46万6899人と最多で、19年3月比79.7%まで回復した。2位以降は台湾(27万8900人、同69.3%)、米国(20万3000人、同115.0%)、香港(14万4900、同84.5%)と続いた。中国からは7万5700人(同11.0%)。19年3月は69万1279人で国・地域別で最も多く、全体の25.0%を占めていたが、現時点では4.2%に過ぎない。
中国の文化観光局は23年2月、タイ、インドネシア、マレーシアなど20か国について団体旅行を解禁。3月にはフランス、スペイン、イタリアなど40か国が追加されたが、日本はこの60か国に含まれていない。
中国本土から人気の渡航先は香港、タイ、マカオ、日本、韓国
JNTOの「訪日旅行データハンドブック2022年」によると、19年に中国人が最も多く渡航した国・地域で最も多かったのは香港で、タイ、マカオ、日本、韓国と続く。現時点では、中国政府が中国入国の際に陰性証明を求めているのに加えて、日本政府は、直行便で日本に到着する乗客の約20%に対してサンプル検査を行っている。こういった水際対策が緩和され、日本への団体旅行が解禁された際の「伸びしろ」は大きそうだ。
観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、19年の訪日外国人旅行消費額は4兆8135億円。これを国籍・地域別に見ると、最も多いのが中国の1兆7704億円で36.8%を占める。2位以下の台湾5517億円(11.5%)、韓国4247億円(8.8%)、香港3525億円(7.3%)、米国3228億円(6.7%)を引き離しており「爆買い」が復活するかも焦点になりそうだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)