スープストック、離乳食提供は本当に「炎上」したのか 賛同・応援も多数...SNS反応の実態は

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   食べるスープ専門店「スープストックトーキョー」が、全店で離乳食の無償提供を始めると発表し、SNSで批判が相次いでいると報じられている。

   実際、2023年4月20日には関連ワードがツイッターのトレンド入りするほど言及されているが、実態はどうなのか。

  • テキストマイニング(ソーシャルインサイトより)
    テキストマイニング(ソーシャルインサイトより)
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過去にはポジティブな文脈で話題に

   スープストックトーキョーは4月25日から、離乳食の無償提供を始める。発表では、背景について「お客さまのライフステージが変わり、ご家族やお子さまと一緒にご来店いただく方も増えてきました」と客層の変化を挙げ、「お子さまの成長を一緒に見届けることができればという思い、そしてお父さんやお母さんと一緒に食事の時間を楽しんでいただきたい」との思いがある。

   一部の店舗で試験導入したところ利用者から高評価で、SNSでも賛同が相次いだため、全店舗に広げるという。

   説明の通り、21年1月に一般のツイッターユーザーが「近所のスープストックが離乳食の提供始めてて驚いた(中略)しかも無料!?すごいな」と投稿すると、1万3000リツイート、2万3000以上の「いいね!」が寄せられた。スープストックは反響を受け、対応店舗をリプライ(返信)で案内していた。22年3月にも、「スープストックトーキョー離乳食無料なの?神なの?」と取り組みを称えるツイートに2万1000いいね!が押された。

   離乳食は「鶏肉と7種の野菜のミネストローネ」「鶏肉とさつまいものおじや」「北海道産とうもろこしのシチュー」「鯛出汁とトマトのおじや」の中から、時期によって1種類提供する。

   対象月齢は9~11か月(目安)。一人につき1杯までで、テイクアウト・デリバリーはできない。対象より上の子どもは、キッズセット(税込630円)を用意する。なお、スープストックトーキョーの運営会社が手がけるファミリーレストラン「100本のスプーン」でも、離乳食を無償提供している。客から人気を博し、レシピ本や自宅用の販売もしている。

「社会がここまで分断しているのか...」

   しかし、今回の取り組みを巡って、SNSでは議論が巻き起こった。スープストックの18日の告知ツイートは1万4000件以上リツイートされ、引用コメントが5000件付いている。

   まとめサイトなどでは「炎上」などとセンセーショナルに取り上げられ、スポーツ紙「スポーツニッポン」も、「賛否でネット大荒れ 『もう二度と行かない』の声まで」などとウェブで報じ、批判が優勢であるような状況を伝えている。

   一方、「スープストックが炎上するのはどう考えてもおかしい」「素晴らしい取り組みなのに炎上していて驚き。社会がここまで分断しているのか...」と懐疑的な見方や、閉口する人もいた。

   J-CASTニュースではSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」の機能「RTキャンペーン分析」を使い、20日昼までにスープストックの告知投稿に寄せられた引用リツイートのコメント1162件(総文字数は9万2528字)を収集した。(ツールの仕様上、非公開アカウントやスパムアカウントのデータは取得できない。米ツイッター社によるAPI仕様変更・改廃の影響で、取得できないケースもある)。

「いい」「良い」「多い」「嬉しい」「すごい」「ありがたい」

   同じくユーザーローカル社のツール「AIテキストマイニング」で書き込み内容を調べると、頻出した形容詞は上位から「いい」「良い」「多い」「嬉しい」「すごい」「ありがたい」と好意的な反応が並ぶ。「いい(良い)」は合計284回登場し、3番目の「多い」(94回)を大きく上回った。

頻出語(AIテキストマイニングより)
頻出語(AIテキストマイニングより)

   「多い」は、「思う」とセットで頻繁に使われ、イメージをもとにした感想が目立つ。「うちはもう離乳食は卒業したけど、助かる親御さん多いと思う」「外食を遠慮している子育て世代も沢山いると思うので、とても励みになるし有難いと感じる人は多いはず」といったターゲット層を意識して賛同する声や、「実際はポジティブな声のほうが絶対多いと思うから取り組み成功してほしいな」といった応援だ。

   一方、「大人だけの空間前提で作られてる店舗が多いから、今までの利用者層からすると子連れが増えたら嫌だという気持ちはわかるなぁ。。」「スープストックの客層ってどっちかというとお一人様が多いんじゃないの?」「店内狭いところが多いから子供連れ結構厳しくないかね」と懸念も見つかる。7番目に多かった形容詞も「狭い」だった。しかし、批判というより、店の特徴を理解した上での冷静な意見とも取れる。

ユーザー同士の対立で騒動拡大?

   ポジティブな感情の文とネガティブな感情の文の比率は、前者が28.3%、後者が14.4%、中立が最多で57.3%だった。5つの感情別の数値(全ての感情の平均値を50%とした偏差値)では、「好き」「怒り」「悲しみ」が62.0%、喜びが53.6%、恐れが10.5%だった。

   ネガティブがポジティブを上回っているが、ネガティブと判別された書き込みの中には「このニュースに客層悪くなるって呟くような人間のほうが悪い客層なんではないですかね...」などと、批判への反発も含まれている。

   実際、ユーザー同士での対立は少なくなかったようだ。引用リツイートのコメントの中には、批判への反論やあきれるような投稿に、1000件以上の「いいね!」が集まっていた。

   『広辞苑』(第7版)では、炎上を「インターネット上で、記事などに対して非難や中傷が多数届くこと」と説明している。反対意見への反発が相次いだことで、スープストックが実態以上にバッシングを浴びていると受け取った人は少なくなさそうだ。

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