医師が同人誌売ってたら...医学会総会博覧会の広報にまさかの任命 「この人しかいない」スカウトした「爆買神」の熱意

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   自作のマンガ「同人誌」を手売りしていたら学会の広報にスカウトされた――マンガ家の永田礼路さんの体験したエピソードがインターネット上で大きな反響を呼んだ。

   永田さんは医師として働きながらマンガを描いており、その経歴に医療界が目を付けた。日本最大規模の医学系学会「日本医学会」が主催するイベントの広報を手伝ってほしいという。永田さんは「ガチ目の偉い人」からの熱烈なお願いに圧倒されて、広報を受諾。描き上げたマンガはインターネット上で大好評だった。

   J-CASTニュースの取材に2023年4月14日、医学会総会展示準備室の展示委員は「永田礼路先生の漫画は我々の予想をはるかに超える影響力がありました」と述べる。

  • 永田礼路さんのマンガ「同人誌売ってたら謎の客が来た件」
    永田礼路さんのマンガ「同人誌売ってたら謎の客が来た件」
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  • 永田礼路さんのマンガ「同人誌売ってたら謎の客が来た件」
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同人誌即売会で「机の上の本全部ください」

   永田さんは医学会総会の広報となった経緯をマンガ「同人誌売ってたら謎の客が来た件」で、次のように明かしている。

   発端は22年11月27日に開催された同人誌即売会「コミティア」だった。プロ・アマチュア問わず自らオリジナルのマンガを対面で売買できるイベントだ。永田さんが自作のマンガを販売していると、やけに気前のいい客が訪れた。

「机の上の本全部ください」

   永田さんは思わず「富豪きたー!!」と驚く。個人で制作する本は商業マンガと比べて単価が高くつくこともあり、この日永田さんが用意したマンガをすべて購入すると6000円を超える。しかしその客はためらうことなく笑顔で購入。午後を過ぎて人出が少し落ち着いたころ、再び永田さんのもとを訪れた。

   落丁などがあったのではないかと心配気味に話を聞くと、その客は名刺を差し出し、学会の広報に協力してほしいと話す。永田さんは名刺を見て「ガチ目の偉い人」だと驚愕。その正体は、著名ながんセンターの医長だった。

   永田さんをスカウトした医師は、イベントでの挙動から「爆買神」としてマンガで描かれ、ツイッターでもそう呼ばれている。爆買神は自身が展示委員を務めるイベント・医学会総会(医総会)の広報に協力してほしいと熱烈に勧誘。永田さんは押されるままに広報を引き受けた。

pixiv月例賞の「優秀賞」を受賞

   永田さんが広報を任されたのは医学会総会の「博覧会」。医学を題材とした一般向けのイベントで、医者の万博のようなものだという。東京丸の内・有楽町エリアで23年4月15日から23日にかけて開催されている。22年11月からはオンライン博覧会も実施しており、公式サイトで様々な医学・医療にまつわるコンテンツを公開している。

   永田さんは、そもそも「医学会総会」とはどんなイベントか、特にオンライン博覧会の見どころなどを、爆買神とのやり取りを中心としたストーリーでマンガ化した。著名な医師のコンテンツをいじったり赤裸々な感想を述べたり、コミカルに紹介している。

   ツイッターで1週間に1話ほどのペースで連載を続けたところ、「お医者さんたちがかわいい」「漫画が面白くて分かりやすいので普通にちょっと興味出ちゃったな......」などの好意的な声が広がった。

   最終話を公開した翌日である4月11日昼過ぎには、関連単語がトレンド入りを果たすなど大きな反響を呼んだ。2月には一連のマンガをイラスト投稿サイト「pixiv」にも掲載。2月の月例賞の「優秀賞」を受賞するなど、広報マンガにもかかわらず大好評だった。

   爆買神に対し「ファンになった」という声もある。J-CASTニュースは、日本医学会総会展示準備室を通じて、爆買神として描かれたオンライン博覧会ワーキンググループ長の医師に、永田さんに声をかけた経緯などを取材した。

永田礼路さんを起用した理由を「爆買神」に聞いてみた

   ワーキンググループ長は、一般の人々に向けて博覧会のレポートマンガを描いてくれる作家を探していたという。取材に対し、次のように述べる。

「博覧会では非医療者向けに工夫を凝らした展示を心掛けていますが、医療機器や薬品など、専門的な知識がある程度必要な情報も存在します。そこで、非医療者の方々にも理解しやすく効果的な情報発信を実現するためにはマンガが適しているであろうと考えました」

   博覧会では、医療にまつわる様々な展示が行われる。これらの高度で専門的な知識を理解し、絵と文字、ストーリーにまとめ、短期間でマンガにするというのは無理難題だ。医療関係者にしかできないだろうと考えながら、インターネット上を検索すると、永田さんが過去に書いたマンガ「8ページでなんとなくわかる『ワクチンなんだろう』」がヒットした。

「この作品は以前読んだことがあり、医療者である我々にとっても非常にわかりやすいと感じたことを思い出しました。『これだ!』と電撃が走った感じがいたしました。さらに永田礼路先生の作品を読み進めるうちに、永田礼路先生が医師であること、これまでに多くの作品を発表し様々な層の読者から高い評価を受けておられることがわかりました。私は永田礼路先生の作品世界に魅了され、『あ、この人しかいない』と確信しました」

   気づけば永田さんのマンガに夢中になってしまったワーキンググループ長は、「直接依頼する絶好の機会」と考え、コミティアに向かった。

「同人誌即売会、コミティアの事は存じておりました。コミティアは創作の宝庫と言える場所です。多種多様なジャンルやスタイルを持つ才能あふれるクリエイターたちが集い、お互いをリスペクトし、互いに刺激を受けながら新たな表現の可能性を追求する【聖地】であり、独自の世界観や緻密なストーリーが紡がれた作品が無数に並びます。
もし、永田礼路先生が今回の無理難題を引き受けて下さる可能性があるとすれば、実際に会場に足を運び、その熱気の中、『医師同士』という土俵で、博覧会にかける熱意をアピールするしかないと考えました」

   そのあふれる熱意は、永田さんのマンガに描かれたとおりだ。

「博覧会に対する心理的ハードルが下がったのではないか」

   永田さんのマンガは大好評で、関係者の予想を超える大きな反響があった。投稿に寄せられる好意的な反応は、ワーキンググループ長らの活動を鼓舞したといい、永田さんに深く感謝する。

「漫画が投稿されるたび、紹介された市民公開講座や三枚噺などの動画コンテンツの閲覧数が大幅に増加しました。また、漫画に対するコメントで多く見られた意見として『とっつきにくいイメージが、柔らかいイメージに変わった』というものがありました。
皆様に博覧会を知っていただくだけではなく、博覧会に対する心理的ハードルが下がったのではないかと感じております」

   ワーキンググループ長はオンライン博覧会の担当だ。オンライン博覧会は、初の試みでありながらも、リアル展示会場の熱気と魅力をぎっちり詰め込んでいるとアピールする。

「オンライン博覧会はすでに公開されており、23年5月末日までお楽しみいただけます。 ぜひアクセスしてみてください!」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)

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