ジャニーズ&博報堂騒動、発言削除された批評家が総括 「典型的な『忖度』」「全体的にしょうもない」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

   大手広告代理店「博報堂」が発行する雑誌で、ジャニーズ事務所に関する記述が削除された騒動で、批評家の矢野利裕氏は2023年4月17日、顛末を公表した。

   雑誌では、ジャニー喜多川氏の「セクシュアル・ハラスメントの問題」に矢野氏が言及していたが、博報堂広報の判断で掲載されなかった。

  • ジャニーズ事務所
    ジャニーズ事務所
  • 広告誌面より
    広告誌面より
  • ジャニーズ事務所
  • 広告誌面より

博報堂から謝罪

   3月31日発売の『広告』最新号(Vol.417)では、「ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか」と題し、社会学者・田島悠来氏と矢野氏の対談記事を掲載した。

   しかし、記事末尾には「本記事は、ビジネスパートナーであるジャニーズ事務所への配慮の観点から、博報堂広報室長の判断により一部表現を削除しています」と記されていた。矢野氏はインターネット上で、ジャニー喜多川氏の「セクシュアル・ハラスメントの問題」が削除されたと打ち明けている。

   博報堂広報室は4月3日、J-CASTニュースの取材に「当社のビジネス上配慮が必要とした原稿に関しては、掲載の可否含め編集長と相談の上、判断をしています」と答え、編集長の小野直紀氏は4日、「広報室長から一部表現の削除要求がありました。編集長としてその場で削除要求の拒否および抗議を行ないました。しかし力およばず、最終的に削除する結果となりました」とコンテンツサイト「note」で記していた。

   矢野氏も17日にnote上で、博報堂から「発言を相談なく勝手に削除したこと」「編集長も削除になった事実を伝え忘れたこと」について謝罪があったと明かした。

   広報室の判断で削除したのは初めてとみられると伝えられ、矢野氏は「典型的な"忖度"と言える」と指摘する。

「編集権というものを知らなかった」

   矢野氏は謝罪を受けた場で、「自社の利益という観点からジャニーズのタレントと外部のライターを天秤にかけて、ジャニーズのほうを重要視したことがたいへん無礼であるとともに、著作権侵害にも抵触している」などの苦言を博報堂側に伝えたという。

   編集長からは「自分はもともと編集の人間ではなく、編集長になるさいも編集権という概念を教わっていなかったため、編集権というものを知らなかった」といった発言もあり、矢野氏は困惑を隠せなかったという。

   矢野氏は、ジャニーズ事務所への企業の対応は今後も問われていくと予想する。実際、元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏(当時は岡本カウアン名義)が4月12日、ジャニー氏から受けた性的被害を記者会見で訴えた際は、「スルー」するマスコミもあり、メディアの存在意義を問う声が少なくなかった。

   矢野氏は今回の削除騒動を「もともとの問題はたいへん根深いものであり、これについては今後も考えるべきであるものの、私の発言についての掲載/削除の判断およびその手続きにかぎって言えば、全体的にしょうもない話でしかなかった、という感想です」と総括している。

姉妹サイト